研究課題/領域番号 |
23K11880
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90130:医用システム関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
佐光 亘 順天堂大学, 医学部, 准教授 (60581155)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | パーキンソン病 / 視床亜核 / 容積 / MRI / サブグルーピング / 中脳 |
研究開始時の研究の概要 |
パーキンソン病(PD)の客観的なサブグルーピングが成功すれば、それぞれのサブグループに応じた治療法を選択でき、脳神経内科領域でのprecision medicineが実現できる。近年測定可能となった、客観的な指標である視床亜核容積に基づくサブグルーピングを目指し、以下の研究項目を予定している。 ①PDにおいて容積に変化のある視床亜核の同定と視床亜核容積を規定する因子を同定する。 ②視床亜核容積とk-means cluster analysis、support vector machine(SVM)を用いてPDの客観的サブグルーピングを可能とするモデルを構築する。
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研究実績の概要 |
パーキンソン病(PD)は、治療薬への反応性も含め多彩な臨床症状を症例ごとに呈する。 客観的なサブグルーピング法を確立し、それに基づく最適化された治療選択を実現するために、MRIから測定できる視床亜核容積と中脳サイズを用いた研究を行った。実際の臨床で簡便に実行できる中脳サイズ測定法としてOne Line Methodを考案し、この方法によりパーキンソン病と似て非なる非定型パーキンソン症候群の一つである進行性核上性麻痺 (PSP)の中脳萎縮を捉えることができ、鑑別診断法として有用であることを報告した。中脳萎縮はPSPの所見でありPDでは稀であると考えられてきたが、122例のPDを対象に中脳サイズを測定すると10.5mm未満の軽度萎縮は19.7%、9.5mm未満の萎縮は4.9%に認められた。そしてこの中脳サイズは視床亜核の中では、mediodorsal medial magnocellular nucleus (MDm)、paracentral nucleus、parafascicular nucleus、ventral anterior nucleus、ventromedial nucleusなどの容量と優位に相関していた。特に相関が強いMDmはbasolateral limbic systemを構成する部位であり、もう一つの構成部位である扁桃体容量とも相関を示した。basolateral limbic systemは感情・情動などと関連することが知られ、中脳サイズは、PDの感情・情動などと関連する非運動症状のバイオマーカーの候補となりうる。視床亜核容量の中でMDmが本来PSPで見られる中脳萎縮と関連があることから、MDmを中心とした視床亜核容積を用いたクラスタリングがPSP類似の予後不良な症例を見出すPDサブグルーピングを可能とするかもしれない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では以下のような実績が得られ、おおむね順調に進んでいると自己評価した。 ①PDでも中脳萎縮を示す一群が存在することを明らかにした。 ②PDの中脳サイズはMDmを含む複数の視床亜核容積と相関を示すことを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
運動・非運動症状のスコアを含む詳細な臨床情報とMRIが紐づけされた症例をさらに集め、視床亜核容積を個別に測定し、k-means cluster analysisによりクラスタリングを行い、得られた各クラスターを臨床的特徴と紐づける。
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