研究課題/領域番号 |
23K11884
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90130:医用システム関連
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研究機関 | 沼津工業高等専門学校 |
研究代表者 |
鈴木 尚人 沼津工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (50551066)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 網膜電図 / マイクロペリメトリー / 視感度低下 / 網膜層の特定 / 黄斑局所ERG / 重畳式ERG / 黄斑局所網膜電図 / 精密視野検査法 |
研究開始時の研究の概要 |
黄斑ジストロフィ等は原因不明の目の難病とされている.しかし,網膜の視感度低下の原因となる網膜層を特定できれば,病態解明につながる.マイクロペリメトリー(精密視野検査法)は網膜の視感度低下を計測する方法であり,ERG(網膜電図)は波形の成分から原因となる網膜層の特定を可能とする.申請者らはマイクロペリメトリーの液晶モニターを用いて,普及率の高い多局所ERGを応用し良好の結果を得た.本研究は高輝度な白色LEDを用いた特殊な表示装置と共に黄斑局所ERGを開発し,マイクロペリメトリーに応用することで,網膜を構成する10層の中で,病気の原因となる網膜層を特定可能にする.
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研究実績の概要 |
研究代表者は黄斑局所ERG(網膜電図)に必要な白色LED表示装置の重要な部分であるサイズ変更フィルター機構と輝度変更フィルター機構をSolidWorks2020を用いて機械設計を行った.サイズ変更フィルターは黄斑局所ERGで使用される5°,10°,15°の相当する穴とマイクロペリメトリーで使用されるゴールドマンⅠ~Ⅴ相当の穴を有し,金属薄板で製作される.輝度変更フィルターは黄斑局所ERG及びマイクロペリメトリーの仕様を満たすために透過率0~100%を均等に配置し,ガラス材で製作される.サイズ変更フィルター及び輝度変更フィルターの仕様を考慮し,駆動部に取付角42mmの5相ステッピングモーター(エンコーダー付,オリエンタルモーター社製)PKP544N18A2-R2GLを2個とモーター用ドライバCVD518BR-Kを採用した. また,研究代表者は多局所ERGを応用することにより,背景配列上に7個の刺激配列を重ね合わせた重畳式ERGを用いて20~50代の健康な数名を対象としてERGの計測を行い,a波,b波,c波,PhNR波(明順応下陰性反応)を確認した.また,黄斑局所ERGソフトウェアの改良を行い.同様に明順応下で20~50代の数名の健常者を対象にERG検査を行い,a波,b波,PhNR波の確認が取れた.律動様小波(OPs)はかなり高確率で確認された.また,d波の疑いのある陽性波はときどき確認された.しかし,c波は確認されなかった.計測はフリッカー光刺激の周波数を10~50Hzに変化させて行われた.これらの研究成果は研究代表者により2023年10月にバレンシア(スペイン)で行われた欧州視覚・眼研究学会(European Association for Vision and Eye Research)の国際会議のポスターセッションにおいて発表された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
(1)白色LED表示装置の機械設計 研究代表者は黄斑局所ERG(網膜電図)に必要な白色LED表示装置の設計を行った.まず,本装置の重要な部分であるサイズ変更フィルター機構と輝度変更フィルター機構をSolidWorks2020を用いて機械設計を行った.サイズ変更フィルターは黄斑局所ERGで使用される5°,10°,15°の相当する穴とマイクロペリメトリーで使用されるゴールドマンⅠ~Ⅴ相当の穴を有し,金属薄板で製作される.輝度変更フィルターは黄斑局所ERG及びマイクロペリメトリーの仕様を満たすために透過率0~100%を均等に配置し,ガラス材で製作される. (2)白色LED表示装置の電気設計 サイズ変更フィルター機構及び輝度変更フィルター機構の重量と必要な仕様を考慮し,駆動部に取付角42mmの5相ステッピングモーター(エンコーダー付,オリエンタルモーター社製)PKP544N18A2-R2GLを2個採用した.それに伴い,モーター用ドライバCVD518BR-Kを用いる. (3)重畳式ERGと黄斑局所ERGを用いた計測 研究代表者は背景配列上に7個の刺激配列を重ね合わせた重畳式ERGを用いて20~50代の健康な数名を対象としてERGの計測を行い,a波,b波,c波,PhNR波(明順応下陰性反応)を計測した.また,黄斑局所ERGソフトウェアの改良を行い.同様に明順応下で20~50代の数名の健常者を対象にERG検査を行い,a波,b波,PhNR波を計測した.律動様小波(OPs)はかなり高確率で計測された.また,d波の疑いのある陽性波はときどき計測された.しかし,c波は確認されなかった.これらの研究成果は研究代表者により2023年10月にバレンシア(スペイン)で行われた欧州視覚・眼研究学会(EVER)の国際会議のポスターセッションにおいて発表された.
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今後の研究の推進方策 |
(1)白色LED表示装置の機械及び電気設計 研究代表者は黄斑局所ERG(網膜電図)に必要な白色LED表示装置の設計を行う.令和5年度はサイズ変更フィルター機構と輝度変更フィルター機構の設計を行った.令和6年度は上下動機構及び左右動機構をSolidWorks2020を用いて機械設計を行う.電気設計に関しては上下動機構及び左右動機構の重量と必要な仕様を考慮し,5相ステッピングモーター及びモーター用ドライバを選定する. (2)制御プログラムの作成 研究代表者は上下動機構,左右動機構,サイズ変更フィルター機構,輝度変更フィルター機構等の制御プログラムの作成をLabVIEW2018により行う.次にフリッカー光刺激及び視標の表示実験を行う.フリッカー光刺激は定常光でのスポット径が5°,10°,15°であることを,視標は視標径がゴールドマンⅠ~Ⅴ相当であることを模型眼上で計測される.光の輝度はマイクロペリメトリーが視野検査の世界的基準であるハンフリー視野計と同様に0~50dBで表示可能であることを,ERGが黄斑局所ERGの仕様と同様に0~8000cd/m2で表示可能であることを確認する. (3)黄斑局所ERGソフトウェアの改良 黄斑局所ERGソフトウェアは明順応下においてa波,b波,PhNR波(明順応下陰性反応)が確認できた.律動様小波(OPs)はかなり高確率で確認された.また,d波の疑いのある陽性波はときどき確認された.この陽性波がd波であることを確認するため,暗順応下においてd波と同様に出現すると報告されているe波の出現を確認するために,ERG計測を行う.また,フリッカー光刺激の周波数を10~100Hzに変化させ,これらの波形の周波数応答を調査する.
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