研究課題/領域番号 |
23K11891
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90130:医用システム関連
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
高岡 浩之 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (50533303)
|
研究分担者 |
鈴木 紀子 (江口紀子) 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (10896062)
小林 欣夫 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (70372357)
近藤 祐介 千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (90771858)
太田 丞二 千葉大学, 医学部附属病院, 主任診療放射線技師 (70745215)
木下 真己子 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (40971883)
八島 聡美 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (50896438)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
|
キーワード | 心臓CT / 心臓再同期療法 / 左室細胞外容積分画 |
研究開始時の研究の概要 |
心不全症例には基礎心疾患の治療と最大限の心不全薬物加療を行う。効果不十分な低左心機能症例には、経静脈リードの植え込みにより、左心室を中隔側と側壁 (自由壁)側の両側から電気刺激を行って収縮効率の改善を図る心臓再同期療法 (Cardiac resynchronization therapy; CRT) を考慮する。 しかし、本治療施行例の約3割は適切な治療効果が得られないnon-responderとされ、本治療の反応性を予測する指標の検出が急務である。 今回術前精査目的の心臓CT画像から解析可能な左室心筋障害を示唆する左室細胞外容積分画を用いて、CRT治療への反応性や予後予測が可能か検証する。
|
研究実績の概要 |
本検討では、薬物治療による効果不十分な低左心機能症例に対して施行する、両室ペーシングによって左室収縮効率の改善を図る心臓再同期療法 (Cardiac resynchronization therapy; CRT) の治療効果、並びに治療後の患者予後を、術前心臓CTによって計測される、左室細胞外容積分画から予測可能となるかを検証する。 当院にて2008年以降に心臓再同期療法を行い、かつ術前に心臓CTを施行した53症例を後方視的に抽出し、CTによる左室細胞外容積分画が術後の有害心事象発症やCRTへの反応が良好な、CRT-responderの予測に有用か検証した。有害心事象は、心臓死、心不全入院、致死性不整脈と定義した。また、CRT-responderは、経胸壁心臓超音波による左室収縮末期容積が15%以上低下した症例と定義した。 上記検討の結果、CRT術後の観察期間中に22症例 (42%)に心有害事象を認め、それを予測するためのCTで計測された左室細胞外容積分画の最適閾値は、Receiver-Operating Characteristics解析の結果44.03%であることが分かった。コックス比例ハザード解析の結果、上記閾値以上の左室細胞外容積分画は、独立した予後予測因子であることも分かった。また、CRT-responder予測の点では、左室細胞外容積分画の最適閾値は35.21%と分かった。上記検討結果については、2024年3月に開催された、本邦で最大規模の循環器系学会である日本循環器学会学術集会において、その成果を学会発表した。今後は規模を拡大し、2024年夏に開催される、世界最大規模の欧州心臓病学会でその研究成果を報告し、英文論文化を予定している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在まで単一施設からの後ろ向き検討の結果、当初予定していた結果が得られている。 しかし、本検討をより大規模でエビデンスレベルの高い検討とすべく、可能であれば多施設からより多くの症例を集めて、前向きな検討とすべきと考えている。 上記目的のための支障として、当院周囲にCRT植え込み術を多数行っている施設が少ないことや、心臓CT撮影プロトコルが統一でない点が挙げられる。心臓CTによる左室細胞外容積分画の定量評価を行うためには、心臓CTにおいて造影晩期相の撮影追加が必要で、この点を今後多施設で統一する必要がある。加えて、倫理審査への協力も必要となり、これらの部分で、多施設研究とすることが困難であり、可能であってもやや時間を要する可能性が高い。
|
今後の研究の推進方策 |
現在まで単一施設からの後ろ向き検討の結果、当初予定していた結果が得られている。 今後本検討をより大規模でエビデンスレベルの高い検討とすべく、多施設からより多くの症例を集めて、前向きな検討としていきたいと考えている。 上記目的のためには、当科関連施設に協力を呼びかけ、心臓CT撮影プロトコルの統一化や倫理審査への協力が必要となり、やや時間を要する可能性もある。 また、CTでの左室細胞外容積分画は、米国心臓協会による左室17区域分類に基づいて、区域毎の値が算出可能であり、細胞外容積分画異常の局在による、予後やresponderへの影響についても検討を加えていく。
|