研究課題/領域番号 |
23K11911
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90130:医用システム関連
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
久米 恵一郎 産業医科大学, 医学部, 准教授 (20320351)
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研究分担者 |
坂井 伸朗 九州工業大学, 大学院工学研究院, 准教授 (60346814)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 内視鏡ロボット / 内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD) |
研究開始時の研究の概要 |
消化器内視鏡治療はウイスキーの瓶の中で帆船を組み立てるような高難度の作業を強いられている。これは、消化器内視鏡が1本のスコープに全ての機能を集約したオールインワン型で、この1本で術野の確保と鉗子処置を同時に行わねばならない協調操作が限界を迎えていることに起因する。内視鏡治療も手技自体は単純な作業で構成されており、机上で行うかのように病変や臓器を手で支えながら切除・切開できれば、極めて容易となるのは想像に難くない。そこで、あたかもウイスキーの瓶の中から取りだしたような作業を可能とするマスタスレーブ型ロボ ットの開発が本研究の目的である。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、全ての操作を完全遠隔化し且つ1人の内視鏡医で操作可能なマスタスレーブ型ロボットの開発により早期消化管癌をはじめとする内視鏡治療を容易化・短時間化・平準化することである。既にプロトタイプとしてETRS (Endoscopic therapeutic robot system)1-2号機を開発した。1号機は、1)臨床使用可能なサイズとすべく、経口的に挿入するオーバーチューブ(直径2cm以内)に挿入可能な構成とし、2)全ての操作(把持鉗子・ナイフ鉗子・注射穿刺鉗子)がコンピュータ制御により1人の内視鏡医のみで直感的に遠隔操作(把持・ナイフ鉗子のマスタ装置には、2台の“Geomagic Touch” (3D Systems inc,USA) を使用)できることを目的として完成した。しかし、1)ナイフ鉗子の操作角度が足りなくなること、2) 内視鏡のアングル操作を鋭角にすると把持鉗子・ナイフ鉗子の操作性が低下することが次の課題となり、これを解決したETRS2号機の開発し、1-2号機いずれにおいても動物実験として豚胃を用いた仮想胃癌病変に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を実現してきた。 しかしながら、ETRS1-2号機は、言わばESD専用ロボットである。1-2号機のロボットナイフ鉗子はスコープ先端の下部からの能動操作で左右120度、上下45度としたが、これはESDの基本操作である粘膜の切開と粘膜下層の剥離を容易にするシステム構成ではあるが汎用性に乏しい。ロボットのコストパフォーマンスを考慮した社会実装を最終目的とすればda Vinciのような汎用性が必須である。そこで、進行した消化管癌や粘膜下腫瘍に対して試験的に行われ始めた内視鏡的全層切除術(EFTR)や咽喉頭領域癌などの治療を可能にする新たなロボット鉗子及びその制御システムを開発することが本研究の目的である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
具体的なシステムとして、まず、可動範囲を拡大した汎用性のあるロボットナイフ鉗子とその制御システムを開発し、次にこの鉗子を開閉で把持・閉じた状態で電子ナイフ(電気メス)となるロボット多機能鉗子と、ナイロン糸による連続縫合を可能にするシステム鉗子を開発を期間内に実現する予定だが、まず最初の目的である汎用性のあるロボットナイフ鉗子を開発した。アーム部は蛇腹方式で180度の上下左右操作が可能でナイフ鉗子として汎用性を獲得したと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今回開発した汎用性ロボットナイフ鉗子と2号機で開発した把持鉗子システムと左右両手のシステムで、まずESDを試行しながらスムーズ且つ直感的で安定した強度をもつシステムとして完成し、より容易化・平準化したシステムに進化したことを動物実験等で証明し、開閉で把持・閉じた状態で電子ナイフ(電気メス)となるロボット多機能鉗子と、ナイロン糸による連続縫合を可能にするシステム鉗子の開発へと進める。
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