研究課題/領域番号 |
23K11923
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90140:医療技術評価学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
椎名 秀一朗 順天堂大学, 大学院医学研究科, 教授 (70251238)
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研究分担者 |
戸張 真紀 順天堂大学, 医学部, 准教授 (30366372)
丸山 紀史 順天堂大学, 医学部, 先任准教授 (90375642)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 人工知能(AI) / アブレーション / 肝臓癌 / 画像処理システム |
研究開始時の研究の概要 |
「AIを用いた画像処理システムによりアブレーションの焼灼範囲を客観的で正確に評価できるか」というのがこの研究で追及する問いである。アブレーションにおける焼灼範囲は不十分になってもでも過度になっても患者の不利 益につながるため、焼灼範囲の正確な予測が不可欠である。 こうした問題点を解決するため本研究ではAIを用いたアブレーション中の焼灼範囲モニタリングシステムを使用し、焼灼に伴って生じる組織変化を超音波画像上でモニターする。そして、焼灼範囲を正確に把握し、適正なセーフティマージンの確保についての正確性、妥当性を検討する。追加治療の回避、合併症の減少、患者の予後の改善にもつながると思われる。
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研究実績の概要 |
研究実績は以下の通りである。この研究は、肝臓のマイクロ波焼灼術において、リアルタイム超音波画像を用いたアブレーション領域の予測にアルゴリズムベースのイメージングソフトウェアであるBioTraceの有効性を実証することを目的とした。BioTraceは。単一アンテナを使用して超音波ガイド下にマイクロ波焼灼術を実施した肝腫瘍50症例54病変を対象とした。アブレーション1日後に造影CTを撮影した。BioTraceを用い超音波画像に基づいてアンテナの挿入された断面で 2D BioTrace マップを作成した。作成されたBioTrace マップを、24時間後に撮影された造影CTにおけるマイクロ波焼灼術実施中の超音波断面に対応する斜め断面におけるアブレーション領域とDice 係数、感度、精度の測定法を用いて比較した。BioTrace マップと24時間後の造影CTにおけるアブレーション領域とでは平均 Dice 係数は 89.3% (STD 2.9%) であり、2 つの領域間の強い相関関係を示した。また、平均感度と平均精度は、それぞれ 85.5% (STD 6.6%) と 94.1% (STD 5.7%) であった。これらの結果は、焼灼中のリアルタイム超音波画像を用いたBioTrace マップが正確にアブレーション領域を検出できることを明確に示したものである。BioTrace は、リアルタイム超音波画像に基づいて24時間後の造影CTで確認できるアブレーション領域の精密な予測を可能とした。BioTraceにより最終的なアブレーション領域と形状に関する付加的な情報を得ることができ、治療当日にアブレーションの結果をより正確に把握できると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、AIを用い、肝臓がんに対するアブレーションにおいて、焼灼中の超音波画像から焼灼範囲を評価する新規技術を確立することである。 従来は、組織の焼灼で生じる超音波画像上の変化を術者が目視で確認しながら効果範囲を予測していたが、術者によって評価にばらつきがあった。本研究では、超音波画像を用いてリアルタイムで焼灼範囲を評価する画像処理技術を用いることで、焼灼範囲を治療中に定量的に予測する技術を確立する。これまでの研究実績を、APASL 2024 Kyotoで「Prospective trial to establish the effectiveness of BioTrace, a novel ultrasound-based software, for ablation zone prediction following liver tissue MW ablation procedures using real-time ultrasound imaging」のタイトルで発表した。
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今後の研究の推進方策 |
更に症例を増やすとともに、より複雑な症例、病変に対してもBioTraceが利用できるよう、複数回穿刺、焼灼を行なった症例も検討対象としていく予定である。また、研究のワークフローを整備し、スピードアップを図り、研究成果がより短期間で得られるようにする予定である。
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