研究課題/領域番号 |
23K11925
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90140:医療技術評価学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
高田 淳平 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (20962484)
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研究分担者 |
森村 隼人 公益社団法人地域医療振興協会(地域医療研究所), 東京ベイ・浦安市川医療センター, 医師 (10898844)
岩崎 清隆 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (20339691)
服部 薫 早稲田大学, 総合研究機構, 次席研究員(研究院講師) (30724439)
坪子 侑佑 国立医薬品食品衛生研究所, 医療機器部, 主任研究官 (40809399)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 三尖弁閉鎖不全症 / 病態模擬モデル / 拍動循環シミュレータ / 三尖弁 / 病変模擬試験システム / デバイス開発 |
研究開始時の研究の概要 |
三尖弁は心臓弁膜症手術のうち約25%の割合で手術されている一方で、治療基準等が明確になっていないことから、治療選択肢が限られている。今後患者のQOL向上のためには三尖弁の効果的治療戦略支援が重要となるが、三尖弁治療効果評価試験システムは現段階では確立されているとは言えない。本研究ではこれらの課題に対して、三尖弁閉鎖不全症を再現した弁モデルを組み込んだ拍動循環試験システムを構築することにより、三尖弁治療の評価法を確立する。また確立した試験システムを基に既存のデバイスや治療法に残っている課題点を克服する新たな治療デバイスの提案も行う。
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研究実績の概要 |
2023年度は三尖弁病態模擬モデルの作製に着手した。三尖弁閉鎖不全症は右心室組織の拡大により弁尖接合性能が悪化することにより生じる。本研究ではヒト疾患形状に着目して、動物摘出右心室組織の弁輪部を拡張させた。そのまま弁輪部を拡張させても、弾性的挙動を示して、元の形状にもどるため、弁輪組織の弾性挙動を支配するコラーゲン繊維を分解しながら拡張させることにより、弁輪部拡張右心室組織を作製した。作製した右心室組織を、ヒト臨床データを基に作製したシリコーン製拡大右心室モデルに縫着して、三尖弁疾患モデルを作製した。本研究ではこの疾患モデルを「組織・高分子ハイブリッド型病態模擬モデル」と呼ぶ。 作製した組織・高分子ハイブリッド型モデルを、右心室チャンバ、心膜製肺動脈弁、弾性肺動脈モデル、多孔質性抵抗、弾性肺静脈モデル、右心房チャンバから構築される閉鎖型拍動循環シミュレータに組み込み、弁前に取り付けた超音波流量計により血行動態を計測した。計測した結果、病態模擬モデルでは45 mLの逆流量を有しており、臨床ガイドラインが定めるところの重度に相当する逆流を示した。 作製した疾患モデルに臨床で用いられていた弁輪縫縮形成術を施行したところ、重度の逆流が軽度以下まで減少した。このことより、作製した組織・高分子はハイブリッド型病態模擬モデルは三尖弁治療法の有効性を評価することが出来るモデルであることが明らかになった。 2024年度以降はさらに様々な三尖弁形成術法について有効性評価試験を行い、新たな治療デバイスを提案するための医工学的知見の取得を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画当初の予定では、2年目に三尖弁治療法の有効性を評価する試験を実施する計画となっていたが、1年目ですでに三尖弁形成術の有効性をすでに評価することが出来た。そのため当初の計画以上に進展していると考えた。また2023年度中に投稿論文としても研究成果をまとめ、報告することができたことも計画以上に進展している要因として考えた。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は作製した組織・高分子ハイブリッド型病態模擬モデルに人工弁輪形成術を施行した際の、血行動態の変化について前期中にデータ取得を行う。 本研究の最終目的は既存の知慮法の限界を克服する新たな治療法を提案することにあり、その目的を達成するために、2024年度後期には、近年新たに注目されている三尖弁形成術法についても本モデルを用いてデータ取得を行う。
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