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電子カルテ情報によるリアルワールドデータを用いた病態進行を予測するAIの開発

研究課題

研究課題/領域番号 23K11933
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分90140:医療技術評価学関連
研究機関山口大学

研究代表者

中津井 雅彦  山口大学, 大学院医学系研究科, 教授(特命) (10509532)

研究分担者 岡本 里香  京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (50775814)
中上 裕有樹  下関市立大学, 経済学研究科, 准教授 (30843304)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
キーワード次世代医療基盤法 / 電子カルテデータ / 非構造データ / アウトカムリサーチ / 生存曲線 / アテゾリズマブ(遺伝子組換え) / 非小細胞肺癌 / 医薬品費用対効果分析 / リアルワールドデータ
研究開始時の研究の概要

医薬品の費用対効果分析では、臨床試験データのほか、様々なデータを集約して行われるが、病態推移は治験環境と実臨床ではずれがあり、また治験の観察期間では増悪、死亡などの転帰に関するデータを収集するには不十分である。一方で、実臨床におけるリアルワールドデータ(RWD)の集積と分析が可能な形での利活用のための環境が、次世代医療基盤法などにより整いつつある。本研究では、臨床試験という特殊環境下ではなく、RWDからHTAに必要な分析を行うことを検証する。実臨床に基づく信頼性の高い費用対効果の結果を得ることが可能となり、適正な薬剤価格の調整、ひいては医療保険財政への適正化に貢献することを目指す。

研究実績の概要

日本では国際共同試験成績による新薬承認事例が増えているが、国内データが限定的であり、費用対効果分析や実臨床での薬剤選択に課題が残る。薬事上、製造販売後調査などの実臨床結果が期待されるが、登録から解析完了までに数年を要することから即時性を持った国内エビデンスを発信することが難しい。この課題を解決する方法の一つとして、次世代医療基盤法認定医療機関によりオプトアウトで収集された電子カルテデータ(千年カルテデータ)の活用により速やかな国内エビデンス創出が可能と考え、概念実証を行った。
本研究では、再審査期間中のアテゾリズマブ(遺伝子組換え)(切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌を適応症として1200mgが2018年1月承認。以下、本剤)の国内の実臨床成績算出を試みた。対象は化学療法既治療の非小細胞肺癌患者とした。次世代医療基盤法認定医療機関の電子カルテの構造、非構造データを基にチャートレビューを実施し、RECIST評価等から無増悪生存期間(PFS)及び全生存期間(OS)をKaplan -Meier法にて推定した。観察期間は600日とした。
12施設75名が有効性解析対象となった。男性66.7%、年齢の中央値(最小-最大)は71才(32-85)であり、PFSの生存期間中央値は3.5ヵ月(95%信頼区間2.3~8.9ヵ月)であった。OSの生存期間中央値は未到達であり、1年生存率は83.0%であった。
化学療法歴のある切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌に対する本剤の適応は、国際共同第Ⅲ相臨床試験(OAK試験:本剤群425例(国内36例))をpivotalとして承認された。このように革新的な新薬が抱える国内エビデンス不足の課題に対して、次世代医療基盤法認定事業者の電子カルテを基にしたヒストリカルコホート研究で速やかに有効性評価を実施可能であると考えられる。

現在までの達成度
現在までの達成度

2: おおむね順調に進展している

理由

2023年度実施予定の以下の項目を実施した。また、研究分担者・研究協力者を含む全体会議を14回(オンライン12回、対面2回)開催した。
1)電子カルテからの生存曲線の作成に必要なデータの抽出
例数が多く死亡による転帰情報の多い疾患として、肺がんを選定した。再審査期間中のアテゾリズマブ(遺伝子組換え)(切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌を適応症として1200mgが2018年1月承認)を対象として、国内臨床成績算出を行うためのデータ抽出を実施した。データ抽出元としては、次世代医療基盤法認定事業者である一般社団法人ライフデータイニシアティブ(以下、LDI)が提供する千年カルテを用いた。生存曲線の作成および考察に必要なデータ抽出項目を検討し、以下の50項目のデータ抽出を実施することとした。(患者情報(年齢、性別、BMI等)、アウトカム(無増悪生存期間(PFS)及び全生存期間(OS)、打ち切り等)、疾患情報(ステージ、組織学、検査値、転移等)、薬剤情報(アテゾリズマブ期間等)、検査値(Alb, CRP, LDH, 好中球数, リンパ球数, 単球数, 血小板数等))
LDIによる利用目的等審査委員会での承認を経て、データ抽出を実施した。PFSは電子カルテのテキストデータにて、増悪または病態進行(PD)の記載があった場合に増悪と判定した。得られた12施設75症例の匿名加工情報を、セキュリティの確保されたサーバ室に設置する解析用の計算機に保存し、解析環境を整えた。
2)解析対象患者の設定と生存曲線の作成
Kaplan -Meier法にて推定した。観察期間は600日とした。男性66.7%、年齢の中央値(最小-最大)は71才(32-85)であり、PFSの生存期間中央値は3.5ヵ月(95%信頼区間2.3~8.9ヵ月)であった。OSの生存期間中央値は未到達であり、1年生存率は83.0%であった。

今後の研究の推進方策

作成した生存曲線や、抽出データに含まれる患者情報・疾患情報等を活用し、得られた結果の解釈や考察を進める。特に、国際共同試験の結果との比較を行う。それらの検討結果をもとに、RECIST評価(固形がんの効果判定基準)における患者抽出基準の見直しを行い、生存曲線作成の精度向上を図る。さらに、電子カルテデータからの情報抽出の自動化に向けて、AIを活用した自然言語処理技術等の適用を検討する。
まず、作成した生存曲線の描画や理論分布の適合について、統計理論的に妥当な生存曲線かどうかを検討する。これにより、サンプルサイズやデータのイベント発生・打ち切りの分布のバランスなどの問題点・課題を抽出する。注目する時間軸での生存率や生存分布を推定することで、モデルの精度向上およびその限界を検討する。
本研究で作成した生存曲線と国際共同第Ⅲ相臨床試験の生存曲線結果を比較し、本手法によるリアルワールドにおける真の治療効果が医療技術効果(HTA)分析結果に与える影響を評価・検証する。
以上により、リアルワールドの電子カルテデータを用いる国内エビデンス創出の精度向上や限界について解析および考察を行う。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2025-12-26  

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