研究課題/領域番号 |
23K11939
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90140:医療技術評価学関連
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
川島 友和 東邦大学, 医学部, 准教授 (00328402)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 心臓刺激伝導系 / 不整脈 / ヒス束ペーシング / 左脚ペーシング / 多次元解剖学 / 多次元形態情報化 / 臨床解剖 / 刺激伝導系ペーシング / 3次元画像解析 |
研究開始時の研究の概要 |
徐脈性不整脈の新しい治療法として、心臓刺激伝導系の一部を直接的に捕捉する刺激伝導系ペーシングが実施されている。しかし、いかなる臨床画像を駆使しても形態認識できない刺激伝導系は、活動電位に頼り、ペーシングせざるを得ない。この技術の向上や進歩のために、刺激伝導系の正確な体内位置情報の解明とそのシミュレーションに基づいたこの技術評価が必要不可欠である。そこで、微細マクロ解剖学、組織学、画像解剖学などを駆使した複合的解析法に、個体差に寄与する多くの因子情報を明らかにする。最終的に、これらの多次元形態情報化によって刺激伝導系ペーシングの安全性評価とさらなる技術改変のためのエビデンスを構築を行う。
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研究実績の概要 |
本課題の研究計画は、3点に集約される。第1に、前課題である『伝導障害リスクコントロール応用モデルとしての人体刺激伝導系の体内4次元形態情報化』にて開発された心臓刺激伝導系の3次元配置の可視化技術をさらに精度高く改良することである。第2に、マルチモダリティーによる複合的な視点や解析軸(多次元形態情報化)によって、体内・心内刺激伝導系を多次元配置を解明することである。第3に、この発展的な技術を用いて、近年の生理的ペーシングとして注目されている刺激伝導系ペーシングの安全性評価を行い、さらなる患者QOL向上を目指した技術改変のための臨床解剖学的示唆を得ることを計画している。 本年度は、これまでの可視化技術の整理と周囲の反響を知る目的で、その小括から着手した。昨年までの検討によって、現段階での最高と考えられる技術(局所解剖と医療用・産業用CTを併用した手法)にて作成された刺激伝導系の体内・心内3次元配置の可視化モデルを利用して、刺激伝導系ペーシングのシミュレーションを実施した。その概要を循環器専門誌にて報告した (Kawashima & Sato, Eur Heart J, 2023)。従来から説明に使用されてきた2次元模式図では、複雑な刺激伝導系の心臓内配置を正確に表現することが難しく、多くの誤解を与える問題点を明らかにした。この従来より多用される概念図の問題点に関する根拠の確立と、解剖学的に正確な3次元実像モデルを利用したペーシング位置に関する多次元仮想イメージング解析が、循環器のトップジャーナルへ掲載を可能とさせた。現在、可視化技術の精度を向上させることやさらなる別モダリティーの併用と導入による医学工学技術の融合による新しい手法の検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究課題のさらなる意義の向上や発展のためには、解析技術の高精度化の再検討、弁複合体などの周囲構造情報の追加、シミュレーション技術の改良などのさらなる追加技術・解析因子の導入が望ましいと考える。しかしながら、現段階での可視化技術や方向性の評価のための小括研究報告において、既に目標学術雑誌での論文掲載という最大限の成果を得ることができた。この結果は、当初の研究結果以上に進展しているだけでなく、最終目標・評価としても十分な成果とみなすことができる。今年度の成果によって生じた次年度以降の時間的余裕は、現行の方法の改良や提示方法の工夫に活用することができるだけでなく、本研究助成に対する最終成果も大きく期待が持てる。
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今後の研究の推進方策 |
2年目以降は、心臓刺激伝導系の可視化の精度を向上させる方法論の最適化に注力する。心臓刺激伝導系は、一般心筋や心臓骨格内に埋没するため、心外膜もしくは心内膜側からも見えない。さらには、周囲構造とX線の透過度や密度も類似するため、画像認識(空間分解能)が容易でない。これまで報告されてきたいくつかの可視化法の検索や実施を行い、それらの長所と短所を探る。標本の状態に依存するのか、標本サイズなどにも影響するかなどの解析条件の最適化についても検討する。それらの手法が、刺激伝導系の特定の局所提示や可視化にとって最適なのか、あるいは複合的に組み合わせることで良い効果が得られるのか、新しい画像解析法が優れているのか、など明らかにする予定である。現在、異分野融合に向けて、他分野の研究者と協議を開始したところである。様々な新しい技術的な検討を行う予定である。
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