• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

FMコウモリ型超音波センサを用いた浴室内事故防止システムの開発と評価

研究課題

研究課題/領域番号 23K11945
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分90150:医療福祉工学関連
研究機関東京大学

研究代表者

伊福部 達  東京大学, 先端科学技術研究センター, 名誉教授 (70002102)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
キーワード見守りシステム / 浴室内事故 / 溺死予防 / 超音波センサ / FMコウモリ / エコーローケーション / 動体認識 / 材質認識 / 浴室事故防止 / 超音波センサー / 溺死 / 溺水
研究開始時の研究の概要

申請者は、FM超音波を発するコウモリの優れた反響定位機能を調べ、それを模擬したパターン認識方式を研究開発してきた。本研究では、コウモリ型センサを用いて浴室内における溺死・溺水に至る動作パターンを予知し、入浴者や家族に知らせることにより、事故をどこまで未然に防ぐことができるかを評価する。浴室内はカメラが使いづらく、電磁波は人体影響や金属物からの反射の問題があるが、提案方式はこれらの問題をクリアしていることから実現性が高い。なお、本研究の結果からFMコウモリの未知の反響定位メカニズムに新しい視点や仮説を提示していく。

研究実績の概要

〇近年、高齢者の「不慮の溺死および溺水」は「交通事故」と「自然災害」を加えた人数を超え、その死者は年間6,900人(2020年厚労省事業)に及んでいる。 浴室設備メーカー等は、この問題に応えるために各種の見守りセンサの研究開発を行っているが、未だに実用化への道は遠い状況である。
〇申請者は、FM超音波を発するコウモリの優れた反響定位機能を調べ、それを模擬したパターン認識方式を研究開発してきた。浴室内はカメラが使いづらく、電磁波はペースメーカー埋込者等への人体影響の問題があるが、提案方式はこれらの問題をクリアしていることから実現性が高い。
〇本研究の目的は、試作済みのFMコウモリ型センサを用いて溺水・溺死に至る過程の動作パターンを予知し、本人や家族に知らせることにより、どこまで事故を未然に防ぐことができるかを評価し、本センサの利用可能範囲を明らかにすることである。
〇本研究の底流には、コウモリの未知の反響定位機能について新しい視点や仮説を提示し、その機能の解明を目指すとともに、その結果を本センサの改良化に活かすという福祉工学的な趣旨とアプローチがある。
〇初年度は、FM超音波システムおよび物体位置推定プログラムについて、精度を上げるための改良化を進め、検出精度を測る実験を行った。その結果、例えば直径25㎜のアクリルポールの場合は250㎝の距離で検出できることが示された。
〇また、シャワー雑音のある浴室内でも、ポールの動きを追従できることが分かった。さらに、実際の浴室内で入浴者による同様の実験を行った結果から、本システムの有効性が確認された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2023年度は、FMコウモリが発射する下降FM超音波(80kHz~20kHz, 1msec)を生成できる素子を開発・改良し、物体からの反射音を高速A/Dによりマイクロコンに取り込むためのハードウェアの改良化を進めた。また、マイコンによる高速信号処理により対象物の位置を推定するプログラムを実装し、反射音波形や時間スペクトルパターンをPC上に表示するシステムを完成させた。
開発システムがどの程度の物体検出能力を有するかを調べるために、色々な直径(2㎜~25mm)を持つアクリルポール(1m)の検出実験を行った。その結果、直径25㎜のポールは250㎝の距離で検出でき、ポール直径と検出距離は比例関係になることが分かった。また、浴室内のシャワー音(80dB)がある中で、動いているアクリルポールの検出・追従精度を調べた。その結果、一般家庭で多用される浴室内において雑音があっても他の物体があっても、入浴者の動きを追従できることが示された。さらに、実際の浴室内で入浴者による同様の実験を行った結果から、本システムの有効性を確認した。ただし、人と他の物体の材質を識別し、入浴者だけを検出する実験と評価は次年度に残された。

今後の研究の推進方策

①一般的な住宅で多用されている標準的なユニットバスを想定し、浴室内にある物体(浴槽、洗面器、タオル等)と入浴者とを材質の違いでどこまで識別できるかを調べ、入浴者の動きだけを高精度で検出できるようにアルゴリズムを改良する。また、入浴者の動きと連動する湯面の動きにも注目し、湯面動きも考慮した精度の高い動作パターン検出アルゴリズムを開発する。
②人が浴槽内に沈んでから事故を発見したのでは手遅れになる。そのため溺水・溺死に至るまでの動作パターンの特徴を把握し、事故に至る過程で一般にどのような動作パターンを経るのかを調べる。その時の動作パターンを色々な体形の人により繰り返し再現し、そのパターンを機械学習させ、事故に至る前に警告を出せるようなアルゴリズムを作成する。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うちオープンアクセス 3件、 査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] プライベート空間のためのFMコウモリ型見守りセンサの開発.2023

    • 著者名/発表者名
      藪謙一郎, 伊福部達
    • 雑誌名

      日本音響学会研究発表会講演論文集(CD-ROM)

      巻: 2023 ページ: 121-122

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] Learning Processes of Touchscreen Gesture Interaction in Older Adults and Children2023

    • 著者名/発表者名
      Miura T, Yabu K, Kobayashi M, Hiyama A, Hirose M, Ifukube T
    • 雑誌名

      Lecture Notes in Computer Science

      巻: 14055 ページ: 125-139

    • DOI

      10.1007/978-3-031-48041-6_10

    • ISBN
      9783031480409, 9783031480416
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 感覚代行(聴覚障害とは、複合感覚の特性、産業化への道、他)2023

    • 著者名/発表者名
      伊福部達
    • 雑誌名

      感覚代行研究の資料 (Web公開資料集), 感覚代行研究会制作

      巻: 1

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [学会発表] プライベート空間のためのFMコウモリ型見守りセンサの開発2023

    • 著者名/発表者名
      藪謙一郎, 伊福部達
    • 学会等名
      日本音響学会第 150 回(2023 年秋季)研究発表会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Learning Processes of Touchscreen Gesture Interaction in Older Adults and Children2023

    • 著者名/発表者名
      Miura T, Yabu K, Kobayashi M, Hiyama A, Hirose M, Ifukube T
    • 学会等名
      HCI International 2023, 25th International Conference on. Human-Computer Interaction
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 高齢社会を豊かにする技術とシステム -JSTのプロジェクトを例に-2023

    • 著者名/発表者名
      伊福部 達
    • 学会等名
      基調講演資料「ジェロンテック×AI/DXフォーラム」 AOSデータ(株)主催
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 高齢社会を豊かにするテクノロジーを求めて. 第12話:JSTプロジェクトの始動2023

    • 著者名/発表者名
      伊福部 達
    • 学会等名
      Bitis ブログ資料
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi