研究課題/領域番号 |
23K11964
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90150:医療福祉工学関連
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研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
鳥山 朋二 富山県立大学, 工学部, 教授 (00418518)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 介護予防支援 / eスポーツ / 肩部ROM測定 / 介護予防 |
研究開始時の研究の概要 |
日頃の近所づきあいを通じて構成される高齢者のコミュニティ同士を,eスポーツという運動を伴う競技の対抗の場を通してつなぐことで,高齢者の自発的,継続的な参加が期待できる介護予防システムを構築する.ここで期待される自発的・継続的な参加意識は,eスポーツで健康によい運動ができる感覚のみでなく,その実施中に発生する応援や励ましなどのコミュニケーションの楽しさがもたらす協調感や終了後の明確な介護予防効果のフィードバックを源泉として生じるという考えに基づく.本システムは,「通いの場」での提供を主としながら,遠隔参加を可能にすることにより,通所困難者や閉じこもりの高齢者にも,自宅などから参加する道を開く.
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研究実績の概要 |
目的1の達成に向けて,ゲーム実施者に対する側方挙上動作と前方挙上動作を誘導する必要がある.今回は開始時に雑巾を取得することを窓拭きが実施される必須要件とすることで,側方挙上動作誘導を誘導するゲームの試作を実施した.実験の結果,開始時に雑巾を取得するために両手を真横にする例は多く,これまでに試行したどの方法より側方挙上動作が誘導できることを確認した.この結果は,3月に国内の研究会にて発表した.また,専門家によるROM測定時の動作誘導を分析するために,専門家の測定行為を我々のシステムを用いて測定する実験を実施した.その結果,これらの測定結果には大きな差が検出された.この理由として,専門家による測定では,代償行動に関わる見積が混入すること,厳密なROM測定の定義より,現実的に取りうる動作を優先した測定を行っていることが明らかになった.そこで,専門家によるROM測定方法にこれらの影響を排除できる制限をかけてROM測定を実施したところ,より正確にROMを予測することが可能となった.この結果は来年度7月開催予定の国際会議に投稿し,採録を得た.目的2の達成に向けては,得点報酬と興味喚起の関係を明らかにする実験を実施した.現在のゲームでは,実施者は高得点を目指してゲームを実施する.これらの報酬要素が継続的な参加にどの程度寄与するかを調べるため,ゲーム実施中の視線を分析し,これらの報酬要素を注視する時間について測定を行った.この結果については,同時に行われていた会話の分析を加えることにより,国内の学会で発表する予定である. 目的3の達成に向けては,これまでに開発した単独型,競争型のゲームに加えて,協調型のゲームの試作を行った.協調型は,複数人数で同一の窓を協力して拭き取るものである.試作を用いて,16名の高齢者に対して使用した結果を,その仕組みや構成とともに,9月に国内の研究会にて発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目的1については,予定していた姿勢誘導技術を考案し,その評価を実施した.また,次年度実施予定であった姿勢誤差補正技術の方向性を見極めるために,専門家によるROM測定時の動作誘導の分析を行った.これは当初予定していた進捗をやや上回るものである.目的2については,予定していた得点要素の評価を実施した.現段階は,表示された得点をどの程度注視しているかについて分析を行った状態であるが,そこで行われていた会話の内容も含めて分析することによって,より継続性や自発的参加につながるの要素の分析を詳細に行える可能性があると判断した.そのため,対外発表は本年度実施する予定であるものの,実験自体は終了しており,概ね計画通りと言える.目的3については,複数人の遠隔協調を行うことを目的として,1つの窓を複数人が協力して拭くタイプのゲームを試作した.実際の高齢者による試用実験まで終了できており,概ね予定通りの進捗である.
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今後の研究の推進方策 |
目的1については,昨年度試作,実験したものとは異なるROM測定のための別の動作誘導法として,窓枠設定時の動きを利用することを考えている.窓枠設定を行う際には,自然に側方挙上動作が行われているため,この動作を利用して外転角を求めたときの誤差がどの程度生じるかについて調査する.また,昨年度の,専門家による測定動作の分析結果で明らかになった,測定時の代償行動に関わる見積混入の問題については,その補正法を検討し,適用することによって最終的に達成可能な測定精度を明確化する.厳密なROM測定とは異なる現実的な動作を優先することによって生じている誤差については,他の関節情報も用いた機械学習アルゴリズムの適用により,どの程度削減できるかについて検討する.目的2については,昨年度実施した表示得点の注視行動について,そこで行われていた会話の内容も含めて分析する.またこれらが,継続性や自発的参加に対してどのように影響するかについて分析を実施する.昨年度開発した協調型のゲームや以前開発している競争型のゲーム形式が,継続性,自発的参加意識にもたらす影響について検証する.目的3については,HMDによる表示やVRを用いたゲーム実装がどの程度高齢者に受け入れられるかについて調査を行う.具体的には,現在のゲームにおける応援者席に360度カメラを置き,その映像を遠隔地の高齢者に配信した際に,得られる感覚について調査し,その結果を基に遠隔地でも現地と同様な感覚が得られる方法について検討する.
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