研究課題/領域番号 |
23K11976
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90150:医療福祉工学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
二瓶 美里 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 教授 (20409668)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | ホーディング障害 / LiDARセンサ / QCMセンサ / パフォーマンスフィードバック |
研究開始時の研究の概要 |
生活の場となる住環境が快適かつ安全に過ごせる場であるためには、整理整頓や衛生管理等の自己管理が必要不可欠である。しかし、精神疾患や心身機能低下などが原因で片付け行動ができなくなると、転倒や感染、疾病を引き起こす要因となる等、様々な問題が生じる。住環境の悪化は徐々に変化することから居住者が気付きにくく、さらにホーディング障害や認知症などの精神疾患の特性により、家族や他者による介入を拒む場合が多く、生活機能のさらなる悪化を引き起こす可能性がある。そこで、本研究ではLiDARセンサとQCMニオイセンサを用いた居宅空間の客観的な評価指標の提案、認知行動モデルと自己管理ツールの開発を行う。
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研究実績の概要 |
生活の場となる住環境が快適かつ安全に過ごせる場であるためには、整理整頓や衛生管理等の自己管理が必要不可欠である。しかし、精神疾患や心身機能低下などが原因で片付け行動ができなくなると、転倒や感染、疾病を引き起こす要因となる等、様々な問題が生じる。住環境の悪化は徐々に変化することから居住者が気付きにくく、さらにホーディング障害や認知症などの精神疾患の特性により、家族や他者による介入を拒む場合が多く、生活機能のさらなる悪化を引き起こす可能性がある。そこで、本研究では、ホーディング障害者の居宅環境を客観的に評価する指標の作成と自己管理ツールを開発することを目的とし、LiDARセンサとQCMニオイセンサを用いた居宅空間の客観的な評価指標の提案、認知行動モデルと自己管理ツールの開発を行う。 具体的には、客観的な居宅空間の評価手法として、本研究で開発したLiDARセンサを用いた居宅空間評価手法、QCMニオイセンサを用いた常在臭の評価手法を応用し、ホーディング障害の特性を考慮した自己管理手法の開発を通して、実用的な支援方策を提示する。 本年度は、1)3Dスキャナを用いた評価システムの開発と2)写真を用いた評価システムの開発を行った。3)ニオイセンサを用いたデータ分析 1)では、居宅支援員がHDの程度を評価するために居室空間の散らかり度合いをLiDARセンサを用いて客観的、定量的、自動的に評価する手法である。開発した新しい指標を用いて、模擬環境実験および実環境データを用いた検証により、居宅の状況を捉えられていることが示された。2)では、ホーディング障害の受診はんだんのためのCNNを用いた部屋画像推定手法を開発し、87%の正解率を実現した。さらに、LLMを用い部屋画像を基に片付け支援方策を出力するプロンプトを開発し、利用可能性と課題を示した。3)ではこれまでに収集したデータの分析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ホーディング障害に関わる有識者へのインタビューにより、対象像の明確化がなされた。また、それに基づき、評価対象を受診判断と居宅状況の客観的評価の2種類を提案した。これらは、当初計画以上に進展した内容である。具体的には住環境の評価手法ではこれまで用いていた人による主観評価を真値として比較する手法ではなく、物の散らかり度合いを客観的に評価する手法を新たに提案した。さらに、LiDARセンサを用いた居宅空間評価手法に加え、画像を用いたシステムの構築を行い、LLMを用いた片付け支援手法を提案した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的を達成するために、次の2項目を実施する。(1)LiDARセンサ・画像・QCMニオイセンサを用いた居宅空間の客観的な評価指標の提案、(2)認知行動モデルとパフォーマンス・フィードバックを用いた自己管理ツールの開発を行う。本年度は、以下の研究を進める。 (1)3Dスキャナ・画像・QCMニオイセンサを用いた居宅空間の客観的な評価指標の提案:(1)-1 3Dスキャナ(LiDARセンサ)およびスマートフォン等で撮影した写真を用いた居宅空間の計測とClutter Image Rating(CIR)尺度との比較:開発した評価手法をもとに、実際の現場で使用可能なソフトウェアのUIの検討を行う。また、本年度実施した実験や検討結果をまとめて論文化するほか、実用課題についての有識者との議論を行う。:(1)-2 QCMニオイセンサを用いた常在臭の評価指標の開発:これまでに計測した居宅空間空間の実験データを基に分析を進め、常在臭のニオイ主成分特性の分析技術の開発に関しては引き続き検討を進める。 (2)認知行動モデルとパフォーマンス・フィードバックを用いた自己管理ツールの開発 (1)で確立した手法を用い、行動変容を促す方策の検討とパフォーマンス・フィードバック(PF)を用いた自己管理ツールの検討を行う。PFはホーディング障害の対処法を基に、障害特性に合わせた手法を検討する。 昨年度の検討により、ホーディング障害関係の研究を進める研究者および有識者との連携や、現場で片付け支援を行う実務者などとの連携が取れる見込みができたため、現状の課題点の整理を目的としたインタビュー調査を実施する。さらに、画像による評価とLLMを用いた支援の可能性が見いだせたことから、支援内容の評価や、支援実現可能性に関する検討も行う。
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