研究課題/領域番号 |
23K11987
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90150:医療福祉工学関連
|
研究機関 | 東京工芸大学 |
研究代表者 |
森山 剛 東京工芸大学, 工学部, 教授 (80449032)
|
研究分担者 |
坂田 俊文 福岡大学, 医学部, 教授 (10289530)
高橋 伸弥 福岡大学, 工学部, 教授 (40330899)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 難聴 / 音声強調 / 音韻性 / 機械学習 / 個人化 / 語音検査 / 聴力検査 / 音韻 |
研究開始時の研究の概要 |
主に加齢による感音性難聴(異聴)は、摩擦音や破裂音、鼻音といった調音方法(ここでは音韻クラスと呼ぶ)のうち異聴するものに個人差があることがわかっている。そこで、従来行ってきた高周波域増幅に加えて、あらかじめ得ておく音響特徴量の統計量に基づいて、入力音声信号に含まれる音韻クラスを識別し、特定の音韻クラスが検出されたときのみ音声強調を行う手法を提案する。これにより計算コストの低減とリアルタイム性を実現しつつ異聴の個人差に対応することができる。本研究では基礎的検討に留まらず、補聴器や電話、テレビ会議といった音声インタフェースごとの特性に合わせて提案法の実用化を検討する。
|
研究実績の概要 |
本研究では、加齢性難聴において特定の音韻を他の音韻に誤って認識してしまう異聴の傾向が個々人で異なるため、個々の異聴傾向に適応する新たな補聴技術の提案を目的としている。具体的には、事前の検査によってユーザが異聴しやすい音韻の種類(音韻クラスと呼ぶ) を特定し、従来の高周波域増幅に加えて、会話中の音声の強調すべき音韻クラスのみを検出して強調する。これにより言葉の聴き取りに有効な個所のみを強調処理することで計算コストを最小限に抑えることもできる。本研究は、①音韻クラス識別アルゴリズムの検討、②音韻性強調法検討、③語音検査、④実用化検討の4つに分けて進めている。①については、代表者の試作した確率モデルを用いた方法に加えて、分担者の高橋(研究分担者、福岡大学工学部教授)の機械学習を用いた方法に識別精度の改善を得た。②については、④に関する検討に基き今後想定される実行環境への移植を行った。①および②の評価は、破裂音、摩擦音、鼻音といった特定の音韻クラスに異聴傾向を持つ被験者をそれぞれ一定数確保し、それら被験者グループに対する実験により行う必要がある。従って全体計画における初期段階では③の準備が最も重要になる。そこで分担者を通じて福岡市シルバー人材センターに会員登録されている高齢者12人を被験者とし、坂田 (研究分担者、福岡大学医学部耳鼻咽喉科教授)と高橋とで聴力検査(周波数ごとの聴力の検査)並びに語音検査(音韻によって異なる異聴傾向の検査)を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初立案した研究計画に基づきおおむね順調に進展している。但し、聴力検査を担当する技師が不足しており繁忙期の平日を除く日程を調整する配慮を要している。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き①音韻クラス識別アルゴリズムの検討、並びに②音韻性強調法検討を行うと同時に、③語音検査に基づく被験者の確保、さらに④実用化検討を進めていく。特に②に関しては、音韻性強調法を改良するたびに③(異聴傾向の似た被験者のグループを対象とした語音検査)により効果を再検証する、という試行錯誤が必要であると想定している。そのため初年度に引き続き、異聴傾向ごとに一定数の被験者が揃うまで③を実施していく必要がある。また、聴力検査(聴力レベルの検査)の結果と語音検査(すべての単音が合計された結果)の結果を比較することにより聴力レベルと異聴傾向の関係を明らかにするとか、500Hz, 1kHz, 2kHzの3周波数の平均聴力レベル(3f)および語音了解閾値(SRT)、気骨導差を比較検討することにより、難聴の要因を限定あるいは特定するといった検討を行う予定である。
|