研究課題/領域番号 |
23K11994
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
|
研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
津田 栞里 東洋大学, 文学部, 講師 (50961992)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2027年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
|
キーワード | 18世紀ドイツ哲学 / バウムガルテン / カント / 哲学史 / 近世ドイツ哲学史 / 啓蒙 / 合理主義哲学 / 敬虔主義神学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究はスピノザ論争に焦点を当てた包括的なバウムガルテン論の構築を契機として、敬虔主義神学という伏流を踏まえた近世ドイツ哲学史の再検討を目指すものである。具体的には、敬虔主義神学から合理主義哲学に向けられたスピノザ主義批判がバウムガルテンの合理主義的側面の刷新を促したという仮説を、彼の思想全体から敬虔主義神学的要素を析出、ライプニッツ哲学からの離反の有無を評価することで、形而上学・倫理学・美学を対象に検証する。したがって、本研究は近代美学史研究、さらに当時の社会的・政治的問題を前景化する点で18世紀思想史研究にも貢献する研究課題である。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ドイツ啓蒙期において敬虔主義神学は合理主義哲学にどのような理論的貢献を果たしたのかという問題意識のもと、ライプニッツやヴォルフに連なる合理主義者という評価からの脱却が進むバウムガルテンに注目して、合理主義哲学が敬虔主義神学をいかに受容・展開したのかを解明し、その成果を踏まえて敬虔主義神学という伏流に注目する立場から近世ドイツ哲学史を再検討することである。 上記の目的意識のもと、2023年度は、歴史学の手法に依拠する思想史研究と哲学史研究の相違を検討するために、「論争に焦点を当てる方法」を提唱したJ・イスラエルの主要著作とその関連研究を整理した。その成果の一部は、予定通り日本哲学会大会(2023年5月/早稲田大学)で報告し、さらに紀要論文「なぜスピノザに注目して十八世紀ドイツ哲学史を描くのか:哲学史の方法論 試論(一)」(『白山哲学』58、2024年)として公開した。 また、当初は予定していなかったものの、バウムガルテン実体論をカントの実体論と比較する機会を得たことで、より精確に18世紀ドイツ哲学史のうちに位置づけるための見立てを獲得することができた。その成果は、日本カント協会大会(2023年11月/群馬大学)のシンポジウム「カントとバウムガルテン」で報告し、同学会誌に寄稿した。しかしながら、予定していた国際誌Ergoの投稿には至らなかった。 加えて、当初予定していたドイツ啓蒙研究および従来の近世ドイツ哲学史記述のサーベイや、ジークムント・ヤーコプとランゲに関する先行研究を整理を十分に実施することができなかった。したがって、18世紀ハレの敬虔主義神学者がライプニッツやヴォルフ等の合理主義哲学に向けた批判の論点の抽出、また、〈ドイツ啓蒙期(とりわけハレ)における敬虔主義神学者間にどのような立場の違いがあるのか〉という問いは2024年度の課題として残された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
バウムガルテン研究に関しては当初の予定よりも進展した部分はあったものの、本研究課題の中核となる18世紀ドイツ思想史全体の見取り図を獲得するための作業、具体的にはハレを中心とするドイツ敬虔主義神学に関するサーベイに関しては、やや遅れている。また、国際的な発信まで至らなかったことも本研究課題の進捗がやや遅れていると判断した所以である。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度は、〈ドイツ啓蒙期(とりわけハレ)における敬虔主義神学者間にどのような立場の違いがあるのか〉という問いを2023年度から引き継ぎ、当初より予定していたジークムント・ヤーコプとランゲに関する先行研究の整理や一次文献の精読に取り組む。それによって、2023年度の交付申請時での計画通り、2024年度内に上記の問いに関する成果を論文として公開することができると考える。 バウムガルテン研究に関しては、2023年度に予定以上の進捗があったため、継続的に研究を推進するとともに、現状の研究成果を国際誌に投稿することを目指す。2024年度以降は、〈バウムガルテンはライプニッツ主義者か?〉という問いを設定し、より精確に18世紀ドイツ哲学史のうちにバウムガルテンを位置づける。
|