研究課題/領域番号 |
23K11999
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小川 歩人 大阪大学, 国際共創大学院学位プログラム推進機構, 特任講師(常勤) (90850462)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | ジャック・デリダ / ポストヘーゲル主義的カント主義 / 現象学 / 20世紀フランス思想 / 美学 / 政治 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、フランスの哲学者ジャック・デリダの1960年代後半から1980年代初頭の著作および(未刊行)講義録において主として美学、政治論として展開されるカント哲学に対する評価を、その「ポストヘーゲル主義的カント主義」的性格に着目しつつ検討することで、初期から後期へかけてのデリダ哲学の理論的展開を解明する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、デリダ哲学を中心としたフランス現代思想の変節を、1960年代から1980 年代初頭にかけて、とりわけ「ポストヘーゲル主義的カント主義」という観点から再構成することである。 初年度は、デリダのポストヘーゲル主義的カント解釈を検討するべく、1970年代以前のデリダによるカント評価を精査することを試みた。 初期デリダのカント評価は、しばしばフランス現象学導入期の形式主義に対する批判的解釈を含んでいる(カント哲学への現象学/ヘーゲル主義的批判、歴史主義的観点からの批判)。その上で、デリダはカントに対するポストカント的解釈に対して一定の評価を示している(イポリット、カンギレムらによる主意主義哲学のヘーゲル主義的解釈、およびハイデガー的なカントの現象学的解釈)。この意味で、1960年代までのデリダのカント解釈には肯定的、否定的問わずカント主義に対する批判と再解釈が入り混じるものであり、1970年代に展開されるカント論においても、こうしたカントに対する批判的視座とヘーゲル主義的、現象学的換骨奪胎が並走する可能性が示唆された。次年度以降はより具体的にカント解釈が展開される1970年代以降のテクストを中心に検討をおこなっていく見込みである。 またフランスカーンIMECにおいて1970年代、1980年代初頭の未刊行草稿を調査した。とりわけ「GREPH(フランスイデオローグにおけるイデオロギーの概念)」、「尊敬」といった講義録は、デリダの生前に刊行されたカント解釈と並行しておこなわれたヘーゲルーマルクス主義、フロイト精神分析の読解を含まれている。これらの調査内容についても次年度以降より詳細な検討を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの進捗状況についてはおおむね順調に進んでいるということができる。 今年度の刊行物は初期デリダの現象学解釈や政治的立ち位置、1970年代のヘーゲル主義にかんする研究を含んでいるが、これらは次年度以降中心となる1970年代のカント解釈のを進める前提となる。また申請時には予定していなかった新資料を検討したが、初期デリダのカント評価を精査するという目的には必須のものであり、最終的な成果には順調に近づいている。 また先に挙げたようにフランスカーンIMECにおいて1970年代、1980年代の未刊行草稿を調査し、すでに刊行されているカント論と並行するヘーゲルーマルクス主義およびフロイト精神分析にかんする記述を調査することができた。これらの資料については次年度以降検討を進めるとともに、再度渡航し追加調査をすることも検討している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進計画については、デリダの1970年代のカント解釈にかんして美学論、政治論の観点から検討を進めていくことになっている。とくに初年度調査をおこなった講義録は政治論的色彩が強いものであった。今後は同時代のリオタールのカント解釈等と並行させながら検討を進めていきたい。 また先に挙げたようにフランスカーンIMECでの未刊行草稿追加調査も検討している。
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