研究課題
若手研究
本研究は、V・ジャンケレヴィッチの倫理学の全容と哲学史的位置づけを解明することを目的とする。ジャンケレヴィッチは、「他者のために」という意図をもって行為することを善とするが、この倫理学の核心には、行為を意図するその瞬間に定位し、一回限りの瞬間を好機と捉える時間論的発想がある。そこで本研究はジャンケレヴィッチの時間論がどのように進展していったのかを生成史的にあとづけること、その成果を踏まえてジャンケレヴィッチの倫理学主著『徳論』を体系的に読解すること、これらによりジャンケレヴィッチ倫理学の全体像を解明する。これを通じて「人間はいかに生きるべきか」という問いに一つの哲学的応答を提供する。