| 研究課題/領域番号 |
23K12004
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| 研究種目 |
若手研究
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| 配分区分 | 基金 |
| 審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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| 研究機関 | 関西学院大学 (2024) 東洋大学 (2023) |
研究代表者 |
高橋 厚 (タカハシアダム) 関西学院大学, 文学部, 准教授 (70817395)
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| 研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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| 配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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| キーワード | アヴェロエス / アリストテレス主義 / ペトルス・ロンバルドゥス / イブン・ルシュド / トマス・アクィナス / 神の存在証明 / 自然哲学 / 西洋中世哲学 / アラビア哲学 / アヴィセンナ |
| 研究開始時の研究の概要 |
イスラーム世界の哲学は,ヨーロッパの学問の成立に際して,いかなる役割を果たしたのか。この大きな問題を前提としつつ,本研究では,十三世紀末から十六世紀までの西欧の「自然哲学」がアラビア哲学の影響によってどのように成立・変容したのかを研究する。具体的には,アヴィセンナとアヴェロエスというイスラームの哲学者たちの著作を,十三世紀から十六世紀の西欧の思想家たちがどのように受容し,結果的に彼らが異なる自然・宇宙理解を示したのかを明らかにする。本研究を通して,中世的な〈自然哲学〉から近代的な〈自然科学〉への変容過程がアラビア哲学の批判的受容という観点から解明されることが期待される。
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| 研究実績の概要 |
論文としては、「神的理性とその変容 ―アウグスティヌスからカントまで―」(『シェリング年報』第32号)、「脆弱な主体:アウグスティヌス『神の国』における人間存在の危機」(『西洋中世研究』第16号)を発表した。特にアリストテレス主義的な哲学者たちが展開した自然の因果性の論理と異なって、アウグスティヌスの伝統においては存在の根拠あるいは理由をめぐる考察が展開したことを、これらの論文において考察した。また、より一般的な概説として、古代・中世の天動説的な世界観の問題について「秩序のもとに 天は動く。」 という論考を『現代思想』(特集:ロスト・セオリー)(2025年1月号)に寄稿した。 学会発表としては、「自然の秩序と恩寵の秩序: アルベルトゥス・マグヌス『「命題集」註解』における「理由律」の問題」(中世哲学会大会)および “Divine Providence and Natural Causality: Albert the Great on Angels and Miracles in his Commentary on the Sentences” (International Conference: Reason and Will in Ancient and Medieval Philosophy)を通して、特に中世スコラ哲学の基礎となっていたペトルス・ロンバルドゥスの『命題集』の注釈におけるアリストテレス主義的論理の受容を考察した。 さらに、ドイツ・ケルン大学の Thomas Institutに2025年2・3月に滞在し、アヴェロエスの『天球論』(De substantia orbis)の写本研究及び校訂版作成に向けた準備作業に従事した。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
学会での専門的な発表および学会誌での論文の出版を行なっただけでなく、ドイツ・ケルンの Thomas Institut に二ヶ月弱滞在することで、アヴェロエスの『天球論』(De substantia orbis)の校訂版の作成に向けた準備作業を進めることができた。その過程で、先方の大学の研究者とミーティングを重ねて、ケルン大学の校訂版作成のプロジェクトに準研究員として正式に加わる合意を得た。それによって当該プロジェクトのオンラインのリソースへのアクセスが可能なるだけでなく、関連する研究者との国際的な共同作業の道筋がより明確になった。
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| 今後の研究の推進方策 |
今後は二つの研究を推進する予定である。一点目は、アヴェロエスの『天球論』(De substantia orbis)について、その校訂版の作成作業をトマス研究所と共同で進める。現在、写本のリストは完成している。それを元に今後はまだ入手できていない写本を取り寄せ、それらをもとに校合作業を進める。また、この『天球論』の西欧における受容をめぐって後期中世からルネサンス期までの受容にかんする哲学史的な精査を行う。この点をめぐっては、2025年11月に行われる香港での国際会議で発表予定である。 二点目は、ペトルス・ロンバルドゥスの『命題集』の西欧における注釈の伝統において、いかにアリストテレス主義の論理とキリスト教神学の論理とが単に対立するだけではなく、特に世界像の形成をめぐって相互作用したのかを主に十三世紀の神学者アルベルトゥス・マグヌスの注釈書を精査することで明らかにする。この点をめぐっては、2025年5月にオックスフォード大学で開催される国際会議においてさらに研究発表を行う予定である。
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