研究課題/領域番号 |
23K12013
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01020:中国哲学、印度哲学および仏教学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
李 麗 名古屋大学, 人文学研究科, 博士研究員 (70851103)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2027年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 陳元贇 / 『老子経通考』 / 『老子』 / 老子 / 江戸時代 / 道家思想 / 林羅山 |
研究開始時の研究の概要 |
江戸時代の支配的思想は儒学であったが、その奥底に異端視された老荘思想が潜かに流れていた。江戸期では、日本の儒学者が自ら『老子』の注釈書を著し、大量の老荘に関する読本が刊行されたことは長い『老子』受容史上において見られなかったことである。例えば、古文辞学派の碩儒太宰春台が晩年『老子特解』を著し、反儒家思想の『老子』に傾倒した事実は如何に解釈すべきか。何故このような特徴が見られるようになったのか。 本研究は江戸時代日本で刊行された『老子』の注釈書の考察を通して、江戸期日本の『老子』受容の様相を明らかにすることを目的とする。これにより、老子の思想が近世日本思想史に与えた影響を解明する。
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研究実績の概要 |
中国本土で生まれた宗教である道教及び道家思想は、中国では儒教と仏教と共に広く深く民衆に根ざし、三教の一つとして中国思想を語る上で欠かせないものである。ところが、日本は歴史上絶えず中国の文化・文明を取り入れてきたにもかかわらず、中国とは違って道教的基盤を持たないと言われてきた。『江戸時代書林出版書籍目録集成』によれば、道家思想であるべき『老子』は「儒書経書」類に分類されており、これは江戸時代の老子観の顕れであろう。中国の道家思想の代表作『老子』が江戸時代でどのように読まれていたか。本研究の目的は、江戸時代日本で刊行された『老子』の注釈書(例えば、林羅山『老子抄解』、陳元贇『老子経通考』、太宰春台『老子特解』、松平定綱『老子厲案抄』など)の考察を通じて、江戸時代における『老子』思想の受容を明らかにすることである。 2023年度の研究成果は著書『渡来人陳元贇の思想と生涯:江戸期日本の老子研究』の刊行である。『老子経通考』の著者である陳元贇(1587~1671)は、元和5(1619)年33歳の時に明から来日し、寛永3(1626)年将軍家光に謁見し、江戸初期渡来明人の中の白眉とよばれていた。尾張藩初代藩主徳川義直に仕え、詩、書、武術のほか、「元贇焼」と呼ばれる陶器の作り方をはじめ、定光寺源敬公廟の設計などを伝えたり教えたりし、多方面に亘って日本文化に貢献した人物である。『老子経通考』という『老子』注釈書は、陳元贇が日本では北宋の儒者林希逸の『老子けん齋口義』が広く読まれていたことを見て心を痛め、老子河上公注を顕彰するため、晩年日本で執筆し、後に日本で刊行されたものである。本書は『老子経通考』の考察を行い、日本における老子思想受容への影響の一端を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現段階の研究成果が刊行できたため
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今後の研究の推進方策 |
引き続き陳元贇『老子経通考』の訳注稿を作成し、『老子経通考』の位置付けを解明しつつ、林羅山『老子抄解』と林希逸『老子けん斎口義』の比較を行い、『老子抄解』から見た林羅山の『老子けん斎口義』の受容を明らかにする。
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