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ビザンツ帝国末期における聖母(生神女)マリア崇敬とその社会的背景

研究課題

研究課題/領域番号 23K12024
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分01030:宗教学関連
研究機関岡山大学

研究代表者

袴田 玲  岡山大学, ヘルスシステム統合科学学域, 講師 (30795068)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2027-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
キーワードグレゴリオス・パラマス / フィロテオス・コッキノス / マリア崇敬 / 聖母崇敬 / ビザンツ / 正教 / イスラーム / 聖母 / キリスト教
研究開始時の研究の概要

本研究は、ビザンツ帝国末期(13-14世紀)のキリスト教(東方正教)における聖母(生神女)マリア崇敬について、当時を代表する正教思想家であるグレゴリオス・パラマス、フィロテオス・コッキノス、ニコラオス・カバシラス、および、彼らに対立した人文学者ニケフォロス・グレゴラスらのテクスト読解を中心に、当時の社会的背景の分析や聖堂装飾に関する近年のビザンツ美術史における成果も取り入れながら、解明する試みである。その際には、カトリックやイスラームとの比較も視野に、それぞれの専門家との国内外における研究協力体制を構築する。

研究実績の概要

本研究は、ビザンツ帝国末期の東方正教における聖母(生神女)マリア崇敬について、グレゴリオス・パラマス、フィロテオス・コッキノス、ニコラオス・カバシラス、および、彼らに対立した人文学者ニケフォロス・グレゴラスらのテクスト読解を中心に、当時の社会的背景の分析や聖堂装飾に関する近年のビザンツ美術史における成果も取り入れながら、解明する試みである。初年度にあたる本年度は、パラマスやコッキノスのテクスト読解を基盤とし、彼らがマリアに対して用いるσωτειραやκυριαという単語(正教的文脈では通常父なる神やイエス・キリストを指す「主」、「救世主」の女性形にそれぞれ該当)やφαρμακον(薬)という単語に着目して分析を進めた。これらの用法は、堕罪の際にエバが受けた「男(夫)によって支配される」という呪いから解放された存在として、また、人類を原罪から癒す薬・救いという存在として、マリアに人類の救済における主体的・積極的な役割を担わせる働きをしており、当時の新しいマリア崇敬・女性観の在り方を強く示唆することを示した(岡山大学文学部プロジェクト「“ことば”がつなぐ人文学」にて口頭発表)。また、東方における聖母崇敬の源泉となっているテクスト(聖書正典や「ヤコブ原福音書」などの外典)の分析を進め、それらがクルアーンに与えている影響を示し、聖なるテクストや聖地を共有する形で、キリスト教とイスラームにとってマリアが共通の崇敬対象となっていることを、フィル・ブース・オックスフォード大学准教授との共同研究によって明らかにした(共同執筆した章「共通の崇敬対象としてのマリア―東方キリスト教とイスラーム―」を所収する『キリスト教とイスラーム・対立から共生へ』が近日刊行予定)。さらに、グレゴラスと正教をめぐる関係について「ビザンツ帝国末期の正教と新プラトン主義」と題して新プラトン主義協会大会にて発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

まだコッキノスの聖母讃歌やグレゴラスの聖母献堂(進堂)の史実性に関する小作品などの未校訂作品の写本資料にアクセスできておらず、分析の基礎となるテクストが揃えられていないものの、その他の資料は順調に読解・分析が進んでいる。また、フィル・ブース・オックスフォード大学准教授との共同研究によって、計画よりも早い段階からイスラームとの比較研究に入ることができ、今後進める予定のカトリックにおける聖母崇敬との比較にも資するであろう広い視野を確保することができた。

今後の研究の推進方策

今年度着手できた上記分析を継続するとともに、今後は、コッキノスの聖母讃歌やグレゴラスの聖母献堂(進堂)の史実性に関する小作品などの未校訂作品の写本資料に可能な限り早くアクセスできるようになること、カバシラスの三つのマリア説教の分析(およびそれとパラマスのマリア説教との比較)を進めること、また、当時帝都で活発に活動していたドミニコ会を中心とするカトリック側のマリア論との影響関係の分析に着手することが今後の研究推進のための大きな軸となる。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 古代・中世キリスト教における〈女性〉イメージの多様性2023

    • 著者名/発表者名
      山田望、坂田奈々絵、袴田玲、山田順
    • 雑誌名

      キリスト教史学

      巻: 77 ページ: 3-20

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 新たな女性像としてのマリア:ビザンツ帝国末期の正教における聖母崇敬 κυρια、σωτειραに着目して2024

    • 著者名/発表者名
      袴田玲
    • 学会等名
      岡山大学2023年度文学部プロジェクト研究「“ことば”がつなぐ人文学」発表報告
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 宗教と哲学のはざま―東方キリスト教と新プラトン主義:提題ビザンツ帝国末期の正教と新プラトン主義2023

    • 著者名/発表者名
      袴田玲
    • 学会等名
      新プラトン主義協会第30回大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ビザンツ帝国の宗教と人々2023

    • 著者名/発表者名
      袴田玲
    • 学会等名
      就実大学史学会(公開学術講演会)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [図書] 『キリスト教とイスラーム・対立から共生へ』2024

    • 著者名/発表者名
      佐野東生・久松英二編著
    • 出版者
      晃洋書房
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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