研究課題/領域番号 |
23K12025
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01030:宗教学関連
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研究機関 | 皇學館大学 |
研究代表者 |
塩川 哲朗 皇學館大学, 研究開発推進センター, 准教授 (70824530)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 神宮祭祀 / 天照大御神 / 在地性 / 御饌 / 伊勢神宮 / 天照大神 / 天皇 / 祭祀 / 延暦儀式帳 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は伊勢における天照大神を祭る祭祀・儀礼の実態を解明することで、古代の王権祭祀を伊勢の現場から捉え直すことである。古代国家の統治者であった天皇の祖神(皇祖神・天照大神)への祭祀は宮中(天皇祭祀)と伊勢(神宮祭祀)によって構成されていたわけだが、神宮祭祀そのものへの天皇の関与は極めて限定的であり、朝廷側の視点だけでなく、在地祭祀の営みを解明することが必須である。本研究では、平安時代初期(804年)に伊勢で実際に奉仕していた人々よって書かれた史料『延暦儀式帳』に基づき、在地祭祀の視点から古代天照大神祭祀の様態と全体構造を再考する。
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研究実績の概要 |
本年度は古代の伊勢神宮祭祀の全体構造を、平安時代初期(804年)に成立した『延暦儀式帳』に基づいて再考した。 古代の恒例祭祀の中心は三節祭(6月の月次祭、9月の神嘗祭、12月の月次祭。夜に行われる由貴大御饌と翌昼の奉幣によって構成されている)であるが、夜の由貴大御饌は在地に居住する奉仕者のみによって自給的に祭祀が営まれ、供えられる食品は地元の神田や近海の海でとれたものが用いられていたことを再確認した。 特に志摩の神戸から送られてきた鰒などは五十鈴川の清流で清められて調理されており、京に居住する天皇の祖神であるにもかかわらず、鎮座地の自然の恵みを極めて重視して祭祀が組織されていたことを明確にした。 また、この奉仕のあり方は外宮の御饌殿(天照大神を筆頭に、豊受大神などの座がある)における毎日の朝夕大御饌とも共通し、内宮・外宮ともに天照大神を祭るために成立した組織であったことを明らかにした。 また、神宮祭祀の中核に伊勢国の国造や県造が全く関わっておらず、京官の大神宮司によって在地奉仕者が監督されていたことは、例えば杵築大社の祭祀が出雲国造によってなされていたことと対比的であり、伊勢神宮は天皇直轄の祭祀場であって、その祭祀は天皇の専権事項であることが反映されていたためであることを指摘した。 内宮の禰宜であった荒木田氏の氏神祭祀は内宮から離れた現・玉城町においてなされ、五十鈴川上流を聖域とする天照大神祭祀とは厳格に峻別されており、外宮においても度会氏の氏族祭祀の要素は実体として皆無であり、あくまで朝廷によって設置された祭祀場であったことは重要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画であった神宮祭祀の全体構造の把握及び内宮と外宮の比較検討について、恒例祭祀を中心に一程度以上考察が進んでおり、要点と特徴も分析することができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度においては、伊勢神宮の在地祭祀の構造をより広域に捉えるため、度会郡の神宮所管社の分布・構成についての検討を加えたい。そして、神宮祭祀に対しどの程度朝廷側の関わりが存在していたのかを明確にするため、朝廷祭祀との比較検討、及び斎王の神宮祭祀への関わりなどについて検討を進めたい。
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