研究課題/領域番号 |
23K12029
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01040:思想史関連
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
渡辺 恭彦 京都大学, 大学文書館, 特定助教 (90817727)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2027年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 資本主義 / 知識人 / 思想史 / 1920年代 |
研究開始時の研究の概要 |
1900年前後からドイツの哲学やマルクス主義を日本が受容しただけでなく、資本主義の発展により貧富の格差が拡大したことで新カント派からマルクス主義へと思想潮流が移り変わった点でも、二つの国には同時代的な並行性がある。それゆえ、日本の知識人が当時ドイツに留学していたことに着目し、資本主義の発展と知識人の思想形成の関係を検証する。第一に、後進資本主義国であった日本とドイツの1920年代における時代状況と資本主義の段階を比較し、思想潮流が新カント派からマルクス主義へと移り変わった要因を解明する。第二に、新カント派からマルクス主義への転換期における知識人の理論構築を検証する。
|
研究実績の概要 |
フランクフルトのドイツ国立図書館(DNB)にて、1920年代から1930年代の資本主義関係の文献を実見調査した。ドイツの資本主義関連文献にはマルクス主義や共産主義だけではなく国家社会主義やキリスト教史をも射程に入れたものが多いことを確認できた。 ハイデルベルク大学文書館にて、1920年代にハイデルベルク大学に留学した日本人研究者の留学関係書類およびリッカート、ヴィンデルバント、ヤスパース、レーヴィットらに関する公文書を収集した。 マールブルク大学文書館にて、1900年前後の哲学部の書類を実見・調査した。ナトルプやコーヘンが学位審査した書類のほか、自然科学や数学の学部設立に関する書類を収集した。これらは、新カント派のマールブルク学派が数学を重視していた経緯を傍証する資料である。また、マールブルク大学図書館にて、哲学・社会経済史・近代史の開架を調査した。社会経済史の分野では、ウェーバー、ブローデル、ユルゲン・コッカの著作やゾンバルトのプロレタリアート論および社会主義論の著作が多く配架されていた。また、マルクスの著作は哲学だけではなく社会経済史・近代史の書架にも配架されており、重要文献については重複をいとわず所蔵していることを確認できた。 2023年度の調査により、1920年代の資本主義を研究するにあたって参照軸とすべき文献の候補を選定することができた。また、ドイツにおける国家社会主義やキリスト教史に関する知識が不可欠であることを認識するに至った。2023年度の調査は予備的なものであり、今後の調査は研究の進展を踏まえて焦点を絞って行いたい。 今後の研究の方向性としては、日本の資本主義については日本資本主義発達史講座の再検討を行い、ドイツの資本主義については基礎文献の読み込みを進める。また、新カント派に依拠する社会主義について日独の研究を比較する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
資本主義を分析する枠組みの構築を目的として研究を進めている。日本の資本主義については日本資本主義論争に関する先行研究の検討から着手し、ドイツの資本主義については1920年代の関連文献を調査する作業から着手した。 これまでのところ、予備的な調査に留まっており、基礎文献の読み込みと収集した資料の検討を進めることが今後の課題となる。
|
今後の研究の推進方策 |
日本資本主義発達史講座の再検討およびドイツ調査で複写・収集した資料の検討に移る。ドイツの資本主義については、調査結果を踏まえて参照軸とする文献を選定する。
|