研究課題/領域番号 |
23K12037
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01040:思想史関連
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
岩熊 典乃 大阪公立大学, 大学院経済学研究科, 准教授 (80825480)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2026年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | フランクフルト学派 / ナチス・エコロジズム / 自然支配 / ナチズム / 自然 / アドルノ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、フランクフルト学派第一世代の社会哲学の中心軸をなす自然支配批判の背景と射程とを、ナチズムと結びついた民族主義的・優生学的なエコロジー議論、いわゆるナチス・エコロジズムとの関係で検証・再構成することである。 具体的には、ナチズムと動物・自然保護の関連をめぐる近年の歴史研究の成果を踏まえ、ナチス・エコロジズム研究とフランクフルト学派研究とを架橋し、後者の自然支配批判の射程を、「自然」をめぐる同時代の支配的な言説との比較から浮かび上がらせることが本研究の課題である。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、フランクフルト学派第一世代の社会哲学の中心軸をなす自然支配批判の背景と射程とを、ナチズムと結びついた民族主義的・優生学的なエコロジー議論、いわゆるナチス・エコロジズムとの関係で検証・再構成することである。 本年度は、当初の研究計画に沿って、動物(保護)論と生命観に焦点をあて文献読解を進めた。まず、ナチズムと動物保護がどのように結びついたかについて、J. Radkau / F. Uekoetter編, Naturschutz und Nationalsozialismus(『自然保護とナチズム』)をはじめとした先行研究の検討を行い、論文執筆の準備を行った。次に、フランクフルト学派の自然支配批判との関連で動物がどのように論じられているかを検討するため、アドルノとホルクハイマーの共著『啓蒙の弁証法』の最終章の断章群の読解を進めた。これらの作業の成果については、次年度に予定しているドイツでの資料調査を踏まえた検討と合わせて、2025年度以降の発表を目指す。 なお、これらの作業と並行して、「コモンズの経済思想」をテーマとする研究グループより依頼を受け、日本の経済思想家・玉野井芳郎のエコロジー思想と地域主義に関する研究を進め、その成果を国際学会(IVR)で報告した。この研究は、フランクフルト学派とナチス・エコロジズムという本研究課題からは少々ズレるものの、動物論の次に取り組む予定である「郷土(保護)論」に関連して、共同体主義と自然保護の関係を批判的に考察していく上で、重要な機会となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、所属機関を異動したこと、依頼により引き受けた研究に予想外に時間がかかったことなどの事情から、当初予定していたドイツでの資料調査を延期せざるを得なかったため。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度夏季にドイツに渡航し、ベルリン・フンボルト大学図書館ならびにベンヤミン・アルヒーフなどにて資料調査を実施する。その成果を踏まえ、ナチズムと結びついた動物保護論との関係でアドルノやホルクハイマーらの「自然支配」批判を再検討し、論文執筆を進める。
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