研究課題/領域番号 |
23K12044
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
山口 有梨沙 筑波大学, 人文社会系, 助教 (90966699)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | モダニズム / オリエンタリズム / 着物 / ブルームズベリグループ / ブルームズベリー・グループ / 服飾 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、イギリス・モダニズム期にアヴァンギャルドな芸術を生み出し、ラディカルな社会思想やジェンダー観を持っていた知的芸術家集団「ブルームズベリー・グループ」の服飾表象及び着用経験に着目する。なかでも本研究では、日本の着物やトルコ風のズボン等の「東洋の衣服」を主題とする。 本研究課題における「問い」は、トランス・ナショナル及びトランス・カルチュラルな服飾表象や経験は、20世紀前半のイギリスの伝統的規範を揺るがす力を持ちうるのかということである。そのうえで、「東洋の衣服」に身を包む経験がどのようにアヴァンギャルドな身体(またはその表象)の完成を可能にしているかについて追及していく。
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研究実績の概要 |
2023年度は海外での一次史料の調査及びその分析と考察に時間を割いた。 2023年9月に10日間渡英し、The Victoria & Albert Museum、Royal Collection Trust、Tate Britain、The Keep、Charlestonを訪れ、所蔵されている衣服や装飾品、絵画、写真等の調査や学芸員へのインタビューを行った。 本研究課題において特に注目している英ブルームズベリグループに関わる芸術家たちが制作した演劇作品の衣裳のデザイン画や関連資料の調査に成功した。該当の演劇作品は日本や中国の芸術の影響が色濃くみられ、本研究課題で詳らかにしようとする英モダニズムと「東洋の衣服」の関連について語るうえで不可欠な史料となる。 さらに、2023年度は海外の研究者らとの研究交流や打ち合わせを多く行うことができた。米ニューヨーク大学のLeren Li教授との打ち合わせを行い、東洋の衣服が西洋文化に与えた影響とその表象の変遷についての共同研究の可能性を模索した。さらに、英Royal Collage of ArtのSarah Cheang教授とも研究交流を行い、英モダニズムにおける衣服の役割や東洋の衣服の存在意義について多くのアドバイスを頂戴した。 調査で得たあらゆる情報をもとに批判的分析に力を入れ、英語で本研究課題に即したテーマの論文の執筆に取りかかり、2024年4月にその内容をロンドンの国際学会にて発表する予定である。 さらに、研究の過程で新たに出会ったモダニズム芸術における「衣服の不在」についても、最新の研究書等を用いて考察および執筆を進めることができた。2024年度にむけての基盤を整えることのできた1年間であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2023年度は海外での一次史料の調査及びその分析と考察、さらにアウトプットまでに至ることができた。 2023年9月に10日間渡英し、The Victoria & Albert Museum、Royal Collection Trust、Tate Britain、The Keep、Charlestonを訪れ、所蔵されている衣服や装飾品、絵画、写真等の調査や学芸員へのインタビューを行った。 さらに、2023年度は海外の研究者らとの研究交流や打ち合わせを多く行うことができた。米ニューヨーク大学のLeren Li教授との打ち合わせを行い、東洋の衣服が西洋文化に与えた影響とその表象の変遷についての共同研究の可能性を模索した。さらに、英Royal Collage of ArtのSarah Cheang教授とも研究交流を行い、英モダニズムにおける衣服の役割や東洋の衣服の存在意義について多くのアドバイスを頂戴した。 調査で得たあらゆる情報をもとに批判的分析に力を入れ、英語で本研究課題に即したテーマの論文の執筆に取りかかり、2024年4月にその内容をロンドンの国際学会にて発表する予定でもあり、当初の計画以上に多くの発見と研究の成果を挙げることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、まず4月に2023年度に調査した一次史料をもとに執筆した研究論文の発表を行う。ロンドンで開催されるロンドン藝術大学主催の国際学会にて、英アートと東洋の衣服の関係について論じた研究を発表する。 8月には濠の美術館にて一次史料の調査を行う計画である。Art Gallery of South Australiaにて2点の衣服の調査に行くことが既に約束されており、さらなる史料の収集の計画が既に進んでいる。また、2023年9月に英国で行った調査にて本研究課題にとって重要な一次史料の数々が濠キャンベラのNational Gallery of Australiaにも所蔵されていることがわかった。2024年8月にはこの2か所の博物館にて実際に一次史料を詳細に調査し、写真等では分析しきれない物質に刻まれた痕跡を発見し、物質文化研究の方法論を用いて批判的分析を完成させる。 また、2024年度中に英Association of Dress Historians主催の国際学会にて論文を発表するべくさらなる研究の分析を進める予定である。 史料収集に加えて論文執筆というアウトプット作業にも力を入れ、計画以上の成果を挙げることに全力を注いでいく予定である。
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