研究課題/領域番号 |
23K12069
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01070:芸術実践論関連
|
研究機関 | 東京工芸大学 |
研究代表者 |
中島 武三志 東京工芸大学, 芸術学部, 助教 (60707404)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2027年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2026年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | sound art / haptics / musical interface / multimodal interaction / musical instrument |
研究開始時の研究の概要 |
音を用いる芸術様式であるサウンド・アートにおいて,鑑賞者が作品に触れられ,テクスチャ(さらさら,つるつるといった物体表面の質感)と音響との相互作用が特徴的な作品がある. 現状では,こうした触感がサウンド・アートへどれほどの価値をもたらすのか,十分に検証されていない. 本研究では,特に①柔らかな素材を用いたテクスチャ,②機械・機構,送風機による変化するテクスチャ,③3Dプリンタ/レーザーカッターを用いた創造的なテクスチャ を持つサウンド・アート表現を実践/検証し,鑑賞者が聴覚だけでなく触覚,視覚を伴って能動的に体験可能な表現様式「ハプソニック・アート」の成立を目指す.
|
研究実績の概要 |
本研究はサウンドアート表現として体験者に特徴的な触感と音響を提示することを目的としており,本年度は柔らかく変形可能な素材(ソフトマテリアル)と振動スピーカに着目した音響情報入出力インタフェースを制作した.また,制作したインタフェースの音響特性を計測し,コンテンツ制作へと応用する上での制約や有効性について考察した.さらに,インタフェースの音響特性を踏まえ,サウンドインスタレーション作品"真鈴 -Marine-"を制作し,展示活動を行った. 音響測定の結果,制作したインタフェースは一般的なスピーカと互いに相補的な音響装置として使用することが望ましいが,触覚提示装置としては必要十分な特性を持つことが分かった.制作した作品は「海」をテーマとしたサウンドインスタレーション作品であり,体験者が柔らかな素材の質感や音響を手のひらで感じながら,インタラクティブに変化する音響に没入することを目指して制作された. 音楽インタフェースやインタラクティブなサウンドアート表現において,体験者が触れる際の触感や動作と,実際に生み出される音響との直感的な対応関係(感覚間協応)は重要な要素である.しかしながら,コンピュータを介した音楽演奏に用いられる入力インタフェースにおいては,一般的にインタフェース自体の触感と生成される音響との間に整合性がなかった.触覚からも音響を受容でき,特徴的な触感やインタラクションを有するインタフェースを創出する本研究は,音楽インタフェースのデザインや聴覚障がいの有無に関わらず触感を通じて楽しめるアート/エンタテイメント分野の発展につながるだけでなく,聴覚と触覚との感覚間協応に関する学術的知見を深める契機となりうる.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では,当該年度の実施項目としてソフトマテリアルと膨張・収縮機構によるテクスチャ生成装置の制作/評価を掲げていた. 装置の開発を進める過程において,膨張・収縮機構の実装よりユーザとのインタラクションを優先した仕様に変更したが,ソフトマテリアルを用いたインタラクティブなインタフェースを制作し,性能評価,インタフェースを応用したコンテンツ制作,展示活動を実施することができた. 以上より,当該年度の研究はおおむね順調に進展していると言える.
|
今後の研究の推進方策 |
今後の方針として,手や足などで知覚可能な様々なテクスチャを音響とともに提示するサウンドアート作品制作を継続する予定である.一例として,送風機を用いた気圧変化によるテクスチャ・音響生成装置の制作/評価,ペルチェ素子を用いた温冷感・音響生成装置の制作/評価が挙げられる.さらに,知覚されるテクスチャと感覚的に親和性の高い音響パラメータの検証を行い,アート作品へと展開してゆくことが今後の課題である.
|