研究課題
若手研究
本研究では、中世・近世の韻文研究史上に空白期が生じている文芸「和漢聯句」を対象に、当時の人々の和と漢にわたる〈知〉がどのように往還し、作品に昇華されたのかを明らかにする。近年、和漢聯句は和の知識(和歌・連歌・物語・謡曲)と漢の知識(漢詩・漢故事)が凝縮される特質上、その研究の重要性が認識され、禁裏の文化圏を中心に、中世から近世初期(17世紀前半)までは基礎研究が進むが、武家については未開である。そこで、現在の佐賀県一帯を支配した鍋島氏の文事を対象とし、その和漢聯句作品の収集と本文整備を行い、催行の背景を記録『塵袋』の分析と、作品への影響関係を詩文集『楓園家塵』の精読などにより明らかにする。