研究課題
若手研究
本研究は、平安時代の贈答歌の実態を踏まえて、『源氏物語』の贈答歌の作為性を明らかにすることを目的とする。研究方法としては、まず平安時代の勅撰和歌集・私家集・日記文学などから男女の恋の贈答歌を収集し、贈歌に対する返歌の応じ方にどのような類型性があるかという点から調査する。そこで明らかになった実際の贈答歌の詠まれ方と『源氏物語』中の贈答歌を比較し、各場面の状況や人物関係に応じてどのような作為や描き分けがなされているかを考察する。この研究を通して、『源氏物語』が同時代の習俗を踏まえながらどのように脚色し、優れた虚構の作品となりえているかという問題の一端を明らかにすることができる。