研究課題
若手研究
本研究は、都賀庭鐘『英草紙』の成立から天明年間にかけての散文文芸を対象とし、その全体像を把握するとともに、文学史の中にあらためて位置づけ直すことを試みるものである。近世中期の散文文芸については、浮世草子の衰退と初期読本の成立との関係性、勧化本や談義本の位置づけ、中国小説の受容のあり方、老荘思想や石門心学の影響など、文学史的な説明が十分になされていない問題が多く存している。こうした現状を踏まえ、〈初期読本の展開史およびジャンルの特性に関する再検討〉と〈近世中期における散文文芸の諸相の把握〉を具体的な研究課題とし、近世中期の散文が文学史的にいかなる意味を有していたか、新たな視座のもと検討する。