研究課題/領域番号 |
23K12102
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
|
研究機関 | 岐阜工業高等専門学校 |
研究代表者 |
樋口 千紘 岐阜工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (10908867)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 地誌 / 御伽草子 / 高野山 / 説話 / 高野山通念集 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、地誌類の文学史的素材としての説話収録について分析する。特に、高野山の地誌類である『高野山通念集』に注目し、霊場高野山で語り継がれてきた伝説や伝承を整理する。この作業を通して、地誌類に収録される伝説や伝承が、地域でどのように扱われ、かつまた他の文学作品とどのように関わるかを明らかにする。この成果によって、地誌類の文学史的価値を見いだし、物語の伝播状況を解明する。
|
研究実績の概要 |
本研究は、地誌類の文学史的素材としての説話収録について分析することを目標とし、高野山の地誌である『高野山通念集』に注目した。『高野山通念集』にある伝説や伝承を整理することで、地誌類に収録される伝説や伝承が地域でどのように扱われ、かつまた他の文学作品とどのように関わるかを明らかにする。同書に収録される伝承や伝説は、地域で語り継がれてきたものだけでなく、様々な文学作品を引用し、読み物としての価値をも持つ。高野山は弘法大師空海開創の霊場であり、中世期の古典文学作品にも多く登場する地である。高野山と文学との関わりを、文学作品に登場する「高野山」からではなく、高野山という場所から見た説話を整理することで明らかにすることが可能である。高野山という場所では、説話はどのように伝承されていたのか、他の文学作品との比較を通して分析し、地誌類と物語との関わりの深さについて考察する。 当該年度は、高野山の地誌『高野山通念集』に掲載される説話を整理、分析し、データベース化することを目標として作業を進めた。収録される文学作品や、高野山の他の地誌『野山名霊集』『紀伊続風土記』をも参照しながら、高野山という場で伝承された説話を洗い出すことを目的としている。まずは、固有名詞、引用される和歌や漢詩を拾い上げる作業からはじめ、固有名詞を手がかりとした説話の捜索、文学作品との比較を目指しているが、データベース化にまでは至っていない。その一方で、高野山と関わる人物として文覚に注目し、文覚の説話伝承と作品群との関わりを研究するなかで「『平家物語評判秘伝抄』〈伝〉の創作性と説話伝承」と題した論文を『平家物語評判書集成』に掲載した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
『高野山通念集』に収録される文学作品は何であるかを捜索するため、人名、作品名、和歌、漢詩を拾い上げる作業から始めたが、数が多く、思うように進んでいない。
|
今後の研究の推進方策 |
『高野山通念集』に収録される固有名詞を洗い出し、収録される文学作品や他の地誌類との比較を通して、高野山という霊場で伝承された説話を洗い出す。Excelファイルを使用してデータベースを作成し、上記作品における説話を細かく比較する。これらの成果をふまえ、御伽草子作品に見られる高野伝承の整理を進める。物語を考察するにあたって御伽草子作品群に注目するのは、御伽草子は、その作品の多くが中世期に原拠を持ちながら近世紀に版本文化の中で多く流布しており、かつ様々に説話を取り込んで物語が成長していくという特徴を持つためである。
|