研究課題/領域番号 |
23K12103
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
|
研究機関 | 松江工業高等専門学校 |
研究代表者 |
大西 永昭 松江工業高等専門学校, 人文科学科, 准教授 (90583394)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
|
キーワード | ゲーム文学 / ハーフリアル / ゲーム的リアリズム / 日本文学 / 現代文学 / ゲーム / メディア |
研究開始時の研究の概要 |
新規メディアの登場とともに更新されてきた我々人間の認識や感性が文学にどのように影響してきたのかを、世界でも有数のビデオゲーム大国である日本の現代文学を題材として考察を行い、ゲーム的な感性が現代人にいかに根付いているかを明らかにする。
|
研究実績の概要 |
本研究は、現代日本文学におけるデジタルゲームからの影響を色濃く受けた作品をゲーム文学として論究の対象としている。デジタルゲームは現代の文化現象を象徴するメディアであり、現代文学の実態を解明するうえでもゲームは欠かすことのできない論点となっている。 2023年度は、そうした問題意識から典型的なゲーム文学というべき作品をとりあげ、論稿「ゲームの「死」は文学に何をもたらすか?―藤田祥平「手を伸ばせ、そしてコマンドを入力しろ」試論―」として『日本文学』10月号に発表した。従来、近代文学はリアリズムを基調として人間の一回性の「死」を描くことを主眼としてきたが、特に2000年代以降の現代文学には「ゲーム的リアリズム」(東浩紀)と呼ばれるような「死」の複数性を前提とする死生観が散見される。上記拙稿では東論を踏み台として、「ゲーム的リアリズム」とは相補的な、文学的な想像力を基に設計されたゲームとそうしたゲームの影響下に創作された小説の関係性を明らかにした。その結果、ゲームにおいて表象される「死」のあり方は、「ハーフリアル」(ィエスパー・ユール)と呼ばれるようなプレイヤーの立脚する現実とゲームの中の虚構世界の両方に跨がるようなものであり、ゲーム文学作品は自然主義文学的な「死」とも「ゲーム的リアリズム」で提起された「死」とも異なったかたちで描かれうるものであることが判明した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
準備段階で論述対象とする作品をある程度厳選できていたことが功を奏したと思われる。
|
今後の研究の推進方策 |
ゲーム文学はデジタルゲームと文学という異なった領域を架橋するジャンルであるため、その両方の間で行われる翻案(アダプテーション)の様相を考察することが重要である。そこで2024年度は、翻案を要件としたゲーム文学作品を対象とした論究を行うことを計画している。 また、ゲームは長らく否定的な言説とともに語られることも多いメディアであったが、ゲーム文学はそうしたゲームの抱える問題点とも対峙しながら語られる必要がある。今年度はジェンダーの観点からゲーム文学にアプローチすることも計画している。
|