研究課題/領域番号 |
23K12126
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 和洋女子大学 |
研究代表者 |
坪野 圭介 和洋女子大学, 国際学部, 准教授 (80884246)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 遊園地 / 大衆文化 / アメリカ文化 / アメリカ文学 / エンターテインメント / 現代文学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、長年アメリカ合衆国の文化的アイコンとして認識されながら、十分に検証されてこなかった遊園地がもつ役割や象徴的意義を、現代アメリカ文学の分析を通して明らかにするものである。史実と虚構を織り交ぜて歴史や記憶の不確かさを問題化するスティーヴン・ミルハウザーやケヴィン・ベイカー、労働者の苦難や人種問題を誇張して描くジョージ・ソーンダーズやナナ・クワメ・アジェイ=ブレニヤーなど、社会の切実な問題を非リアリズムの手法で表現する多くの作家が、作品の舞台に遊園地を選んでいる。こうした作品を分析し、現実の遊園地の文化史的検証と突き合わせることで、アメリカにとって遊園地がいかなる存在であるかを紐解きたい。
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研究実績の概要 |
該当年度には、研究対象である遊園地・テーマパークの表象に関してアメリカ合衆国の大学・図書館・博物館での現地調査を行い、資料収集を行った。とりわけニューヨークにおける貴重資料の閲覧・分析によって、コニーアイランドを中心とした遊園地のもつ文化的意義や歴史的文脈を調査することができた。 また、具体的な実績として、ジョージ・ソーンダーズを中心に、O・ヘンリー、F・スコット・フィッツジェラルド、ジョン・バース、カレン・ラッセル、スティーヴン・ミルハウザー、ナナ・クワメ・アジェイ=ブレニヤーなどの作品に触れながら、アメリカの19世紀末から現代に至るまでの多くの作家が、どのように遊園地・テーマパークを表象してきたかについて、日本アメリカ文学会東京支部にて学会発表を行った。さらに、本研究が主な対象とする現代のテーマパーク研究の土台となる、20世紀転換期の遊園地表象について著書を出版した。著書においては、当時の都市において遊園地が文化史的にもっていた意義を考察するとともに、マリエッタ・ホリー、T・S・エリオット、シオドア・ドライサー、スティーヴン・クレイン、カール・サンドバーグ、F・スコット・フィッツジェラルド、W・E・B・デュボイスなどの作家の都市表象のなかに、いかに遊園地のイメージや象徴性を読み取れるかを分析した。 上記の内容を通して、文化研究と文学研究を接続しつつ、本研究の骨格を成果として示すことができたと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
資料調査に加え、研究成果を学会発表および著書として公開できたため、当初の計画を越えるペースで研究が進んだ。内容に関しても、主な研究対象である現代のテーマパーク表象についての調査と、その土台となる20世紀転換期の遊園地に関する調査の両方を進めることができ、一定の成果にまとめることができたため、想定した計画よりも進展があった。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究によって本研究の骨格を示すことができたため、今後はさらなる現地調査を行うとともに、具体的な作品分析を進め、理論的な枠組みを構築しながらテーマパーク表象のあり方を多角的に分析する。また、文学作品以外の映画などの分析を行うことで、研究対象を拡げることを目指す。 現在まで、ニューヨーク州の遊園地コニーアイランドの分析が主となっていたため、今後は西海岸の遊園地や、遊園地の手法を取り入れた娯楽施設などにも着目し、テーマパークの文化的理解をさらに深める。
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