研究課題/領域番号 |
23K12141
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02040:ヨーロッパ文学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
上杉 誠 慶應義塾大学, 文学部(三田), 助教 (30838363)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | フランス文学 / 伝記 / ロマン主義 |
研究開始時の研究の概要 |
政治家、聖人、芸術家など様々な人物の人生を語る「伝記」は、ヨーロッパにおいて古典古代以来の伝統をもち、今日においても「伝記」的創作物は、文学、絵画、映画など様々なジャンルに見られる。批評家サント=ブーヴが「伝記の世紀」と呼んだほどに「伝記」ジャンルが花開いたロマン主義時代のフランスに注目しながら、「伝記=人生(vie)」に強い関心が向けられた根拠を検討することで、〈他者〉の「人生」がいかに〈自己〉の確立に寄与するのか、〈他者〉と〈自己〉の関係に文学がいかに関わるのか再考する。
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研究実績の概要 |
研究課題の一年目にあたる本年は、フランスロマン主義時代の伝記作品に関連する資料の調査と読解、それから研究課題に関連する研究成果のとりまとめを行った。資料については、必要な資料を取り寄せあるいはオンラインで入手したほか、フランスに出張を行い現地で資料調査を行い、研究課題二年目以降の準備を行った。二次文献として、本研究課題の時間的範囲以前のアンシャンレジームにおける伝記的関心にまつわる近年の研究を参照できたことは、本研究課題の今後の発展に大きく寄与する。成果発表としては、フランスロマン主義時代における文学と倫理の問題について虚構作品における倫理の問題を扱う論文を執筆した。これは2024年度中に発表される予定である。文学と倫理という問題は、個別の人物の生き方を具体的に描くことで読者の人生に影響を与えうるという特徴をもつ伝記作品を読解するための重要な軸である。また研究成果として、20世紀のフランスの作家が、作家、画家について執筆した批評文の翻訳を担当した。こちらも2024年度中に発表される予定である。この翻訳作業を通して、作品論と伝記的記述の混在する批評文のありかたを確認するとともに、作品と作家(画家)を論じるにあたり、伝記的事実の参照が欠かせない要素になっていることを確認した。いずれの成果においても、ロマン主義時代における伝記ジャンルという本研究課題の広がりを、ジャンルと時代という複数の面において確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
いずれの研究成果の実際の発表は2024年度を待たなければならないものの、論文を執筆し翻訳を担当した。海外での資料調査も含む資料の調査、読解を行い翌年度以降の準備を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究課題の2年目にあたる2024年度は、初年度において行った資料の読解をもとにロマン主義時代の伝記作品を具体的に取り上げる予定である。初年度において確認したように、伝記作品が他の文学ジャンルと問題系を共有していることや、ロマン主義時代にとどまらない広がりを持つことを踏まえながら、ロマン主義時代の伝記作品の特徴を明らかにする予定である。
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