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ハワイ語における「視点」の役割に関する記述的研究:空間表現を中心に

研究課題

研究課題/領域番号 23K12156
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分02060:言語学関連
研究機関東京外国語大学

研究代表者

岩崎 加奈絵  東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 特別研究員(PD) (30828827)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2028-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2027年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2026年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2025年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
キーワードハワイ語 / 空間表現 / 語り手 / 視点 / 文法研究
研究開始時の研究の概要

本研究では、ハワイ語の「語り」の文において、文法要素や移動を表す語彙の使用と、物語中のできごとを言語化する際に語り手がとる「視点」との関係を明らかにすることを目標とする。例えば同じ「移動」でも、見る場所を変えれば「行く」でも「来る」でもありうる。この見る場所による違い、すなわち視点による違いをどう言語にマークするかは、言語によって異なる。本研究では、ハワイ語が活発に使用されていた時代の文献資料に基づき、視点という要素に注目することで、これまで不十分だったハワイ語空間表現の文法的・語彙的用法についてより詳細な記述を行い、文法記述の向上と、空間認識と言語使用の関係性の理解に貢献することを目指す。

研究実績の概要

当該年度は「追加する使用テキストの選定」「選定されたテキスト資料へのタグ付け」「ハワイ語における移動動詞の取りまとめ」を主な作業として予定しており、実際には以下の作業を行った。
①使用テキストの選定のため、どのようなテキストを「語り」のテキストであると考えるか検討し、従来の「物語文(いわゆる民話のストーリーテキスト)」に加え、テキストの年代は新しくなるが、音声インタビュー形式での「語り(ライフヒストリーなど)」の書きおこしを加えることとした。
②タグ付け含め、今後のための基礎となるデジタルデータの整備手順・形式の改善を進めた。特に、現在オープンソース化されていない物語文の著作物について、デジタルヒューマニティーズの分野で普及しているTEIのガイドラインを参照し、自らの研究の場合、どの程度の情報を付するのが適切かを考えつつ、現段階では「詠唱文」「語り手によるメタ発言」「章立て」といったごく基礎的な情報を素のテキストに付すにとどめた。また、2点の資料についてはパラグラフごとにハワイ語文・英対訳文を簡単に対照させられるような整形を行った(ここでの英対訳文は、ハワイ語・ハワイ文化研究者による精査を経た翻訳で、歴史・文化的に必要な注釈等も含めて作成されたものであり、信頼性および専門性が高いものといえ、特に本研究にとって重要な「視点」をはじめとする、細かい情報を考慮する際には参照することで得られるものが多いものである)。
③移動動詞のとりまとめは、明確な動作主の移動(いわゆる主体移動)を中心に、働きかけの動作の結果生じる移動(いわゆる客体移動)も含めリスト化を進めたが、作業は対象辞書の中途までにとどまった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初の予定より、「追加する使用テキストの選定」「選定されたテキスト資料へのタグ付け」の2点が遅れている。
追加する使用テキストの選定は、報告者がこれまでに使用してきたハワイ語テキスト資料以外の「語り」テキスト、かつできるだけ著者・扱われている題材の詳細が異なるようなものをコーパスに追加するための検討をおこなった。本研究の「視点」の位置という着目点の細かさから、現代表記への改め作業などを通して、ハワイ語文献専門家が注釈等を加えたものがあるのであればそれが望ましいものの、今期はそうした資料を新たに入手し、コーパスに加えるには至らなかった。そのため、別の方向性として「語り」の中でも書かれたものではない、実際に「語られた」音声のあるデータ利用の方向性を模索した。
タグ付け作業については、これまでの報告者の研究結果からある程度関連する文章中の情報は予測されているものの、それをテキストデータそのものにタグ付けすることにより具体的なメリットがどの程度得られるか、それよりも母体となるテキストデータの使用可能分量を増やすほうが有益ではないか等、具体的作業の前段階で見直すべき事項が多く、既に一定程度分析を進めているテキストへの情報付加は進めたものの、全体としての進捗は予定より遅れた。
なお、もう一つの予定である「ハワイ語における移動動詞の取りまとめ」については、1年目に終了しない可能性を見越していたため大きな遅れがあるとは考えていないが、特に「働きかけの動作の結果生じる移動(いわゆる客体移動)」をどこまで対象とするか等、実際のデータを見る中で予定以上に慎重に考慮すべき点があった。

今後の研究の推進方策

基本的には申請時の計画通り、2年目は1年目の作業の継続・発展を中心に取り組む予定である。基礎データ整備が予定より遅れてはいるものの、本年度は方向表現のみならず、位置名詞・代表的な移動動詞にも対象を広げ、これらの要素がテキスト中でどのように出現しているか、追加で検討を行う。具体的には、各要素を使用するにあたり基準となっているヒトやモノをピックアップし、それらの主人公性・有生/無生、移動動詞の場合は移動の性質(主体移動か否か、経路・様態の情報が加えられているかなど)などに着目したい。また、移動動詞の取りまとめを完成させ、言語資料として発表する機会をもつことを目指す。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] The Use of the Directionals aku and mai in Written Hawaiian Narratives: Exploring the Narrator-Narrative Relationship2024

    • 著者名/発表者名
      IWASAKI, Kanae
    • 雑誌名

      LANGUAGE AND LINGUISTICS IN OCEANIA

      巻: 15 ページ: 22-33

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] ハワイ語における「上」向きの動きとはどんなものか?2024

    • 著者名/発表者名
      岩﨑加奈絵
    • 学会等名
      言語学フェス2024
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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