研究課題/領域番号 |
23K12160
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
野原 将揮 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (80728056)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2027年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 上古音 / 出土資料 / 秦簡、楚簡 / びん語 / 苗瑶語 / 借用語 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の主たる対象は上古中国語に残された周辺言語の「痕跡」、すなわち借用語である。借用語の扱いをめぐっては、伝統的に中国語の影響を過大評価する向きが強く、あらゆる借用語が中国語から周辺言語への借用であるかのような記述がしばしば見られるが、実際にはその反対―つまり周辺言語から中国語への借用も少なくない。本研究ではこれら借用語と思しき語彙を研究対象とし、より立体的な上古中国語体系の再構を試みたい。以下、4点の手法を中心に研究をすすめる予定である:(A)出土文字資料と上古音再構(再建)、(B)動物語彙や農作物に関する語彙の整理、(C)借用語の音韻対応、(D)周辺言語の調査。
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研究実績の概要 |
23年度は、主に以下の3点について研究を進めた: (1)上古中国語と周辺言語とくに苗瑶語(Hmong-Mien)等と関係のある語彙について検討を加えた。そのうち「稲<rice plant>」については中国杭州の西胡大学開催された国際学会で報告し、論文についてはロンドン大学のBulletin of SOSAで発表している。また中国語の「Nang2(bag)」と関連すると思しき苗瑶語の語彙(<ear of grain>、<bag>)については、台湾国立高雄大学で報告し、論文については投稿中である。以上、2、3の語彙については上古中国語と苗瑶語との関連が深いと考えられており、古い時期に中国語に借用されてきたとみなされる。ただし「Nang2(bag)」の「借用の方向性」についてはやや複雑であり、今後さらなる検討を要する。また農作物とは関連はない語彙として、「多<many>」の声母(音節頭子音)の再構についても研究報告を行った。「多」については基礎語彙であるにも関わらず、その上古音声母は例外的な変化を遂げているようにも見える厄介な語彙であり、先行研究でも見解の一致を見ていない。これについては、Proto-Taiとの関連、出土文字資料に見える用例を基に、新たな仮説(Contaminationの可能性)について国内の研究会(神戸外国語大学)と国際会議(陜西師範大学・オンライン)でその内容の一部を報告した。 (2)漢代の出土文字資料である『虎溪山漢竹『食方』』に見える諸現象(特に円唇母音と個別の文字の字釈)について検討を加え国際会議(北京・清華大学)で報告した。論文については24年度中に刊行される見通しである。 (3)戦国楚簡の訳注について、他大学の研究者と共同で戦国時代の楚簡と思しき安徽大学蔵戦国竹簡の『仲尼曰』の訳注を作成し、前半部分を公開している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね順調に進んでいます。
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今後の研究の推進方策 |
これまで通り進める予定。
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