研究課題/領域番号 |
23K12170
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
|
研究機関 | 明海大学 |
研究代表者 |
辰己 雄太 明海大学, 外国語学部, 講師 (30906681)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 時間の副詞節 / 分数 / 統語論 / 言語類型論 / 時間表現 / 数量表現 / 意味論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は分数や時間について、複数の言語を対象として調査を行い、これらの言語表現における発音されない名詞的要素の性質を明らかにすることを目的としている。ヒトの言語における語彙としての音を持たない名詞的要素の存在については、先行研究でも議論されているが、その特徴に関しては、まだいくつかの疑問が残っている。本研究では分数や時間表現に着目し、その通言語的な特徴を明らかにすることで、音を持たない名詞的要素の一般的な性質を導き出す。またこの調査を通して、ヒトが数や時間などの概念をどのように認識し、言語として表現しているのかを明らかにすることを目指す。
|
研究実績の概要 |
本研究は、分数や時間の言語表現について調査を実施し、統語構造に含まれる非顕在的な名詞表現の性質を明らかにすることを目標としている。今年度は、時間に関する言語表現の中でも、特に日本語の「前」のような名詞表現を含む副詞節について、統語論の立場から分析を行なった。「前」などの名詞表現を含む時間の副詞節は、一見すると関係節と似た統語構造を持つが、関係節とは異なった性質を示すことが知られている。今年度の調査では、まず先行研究のデータをもとに、時間を表す副詞節における解釈の曖昧性を精査した。また、最新の統語論の理論的枠組みを用いて、それぞれの解釈に対応する統語構造を提案した。これらの研究成果を国際学会やワークショップなどで発表し、様々な研究者から専門的なコメントを得ることができた。また得られた知見をまとめて、論文の執筆にも着手した。 上記のような時間の言語表現に関する調査と並行して、分数の言語表現についても、複数の言語に関して文献調査などを行い、データを収集した。調査の結果、英語などでは分数を言語的に表現する際に、"two thirds"のように序数を使うが、その他の複数の言語において、英語の "part"に対応する意味を持つ名詞表現が使われていることが明らかになった。また、分数における"part"に対応する名詞表現は、異なる語族の言語において観察されており、このタイプの分数表現が例外的なものではないことがわかった。この観察により、分数の概念を言語的に表現する場合に、言語によって異なるタイプの統語構造が使用されている可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
時間の副詞節についての調査を国際学会などで発表することができた。また、分数に関しても複数の言語におけるデータを収集することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
時間に関する副詞節の研究では、日本語のデータが中心になっているので、今後は他の言語に関しても、さらにデータを収集していく必要がある。また副詞節だけでなく、時間に関する他の構文についても調査を行っていく。分数についての調査は、収集したデータを分析し、その成果をもとに学会発表などを行い、専門家からのコメントなどを得る予定である。
|