研究課題/領域番号 |
23K12179
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
久屋 愛実 立命館大学, 文学部, 准教授 (30807764)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2027年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | 大規模通時コーパス / 言語変化予測 / 変異研究 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、言語変化を高精度で予測するために、変異研究にコーパス言語学の手法を取り込んだ分野横断的な方法論を適用する。英語人称代名詞の主格・目的格交替現象のうち、進行中の変化に関わると思われるいくつかの構文(例: It is he/him who is looking for youなど)を取り上げ、大規模通時コーパスから得た実時間データをもとに、文法変化の予測を行う。得られたデータを多変量的に解析することにより、言語変化を高精度で予測するモデルが構築でき、実時間データの存在しない過去や未来の言語使用実態の解明がすすむことが期待される。
|
研究実績の概要 |
本研究では、言語変化を高精度で予測するために、変異研究にコーパス言語学の手法を取り込んだ分野横断的な方法を適用する。研究対象として、英語人称代名詞の主格・目的格交替現象のうち、進行中の変化に関わると思われるいくつかの構文を取り上げる。Kuya (2021)では、格交替の変化がほぼ完了した言い切り型の構文A(“Who’s there?”に対する返答としての“It’s I/me.”)について、大規模通時コーパスを用いることによりIからmeへの変化の全容を捉えた。本研究では、格交替の変化が未完了(進行中)と予測される他のいくつかの構文のデータにこの手法をあてはめ、データ不在の時期についての変化予測を行う。 今年度は、後続する関係代名詞が格交替にどのような影響を及ぼすかを調べるために、関係代名詞 who に導かれる節がI/meに後続する分裂文(強調構文)である、構文B(It was I/me [who was wrong])の調査を行った。後続要素(who節)を伴うタイプの構文Bでは、who が関係節内で主格役割を与えられるため、Relative Attraction (Jespersen 1894)と呼ばれる文法的制約により、先行詞にあたる人称代名詞も主格 I になりやすいと考えられる。大規模通時コーパスを活用した調査の結果、予測通り、構文Bでは、後続要素を伴わない言い切り型構文(構文A)に比べて、Iからmeへの交替がゆっくりと進行していることが観察された。また、I/me出現に関する、ジャンルおよび縮約形の有無に見る文章の口語性といった要因の影響も、言い切り型構文(Kuya 2021)で観察された傾向と一致した。これらの研究成果を、3月に開催された国内学会で発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の計画は、後続する関係代名詞が格交替にどのような影響を及ぼすかを調べるために、人称代名詞の直後に関係代名詞whoに導かれる関係節が出現する構文B(It was I/me [who was wrong])の調査を行い、その結果を言い切り型の構文A(“Who’s there?”に対する返答としての“It’s I/me.”)と比較することであった。3月の国内学会においてこれらの成果を発表し、今年度の課題の進捗としては概ね順調に進展しているといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
2年度目は、直前の接続詞が格交替にどのような影響を及ぼすかを調べるため、接続詞thanなどにI/meが後続するタイプの構文(構文C)の調査を行う計画である。また、その結果を、言い切り型の構文A(“Who’s there?”に対する返答としての“It’s I/me.”)や、今年度取り組んだwho節が後続するタイプの構文B(It was I/me [who was wrong])と比較する予定である。
|