研究課題/領域番号 |
23K12188
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02070:日本語学関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
榎原 実香 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 講師 (70849067)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | とりたて詞 / 焦点 / 自然談話 / 統語論 / 現代日本語 / 日本語母語話者 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、自然談話のデータベースを構築し、現代日本語のとりたて詞がとる、文の中の一部を際立たせる焦点のメカニズムを解明することを目指す。とりたて詞が付加される語は文の焦点となるが、自然談話では焦点の範囲が語を越えて述語などに拡張することが多い。自然談話を収集し、フォローアップ・インタビューを通してどのような要素が焦点範囲に含まれるかを示すデータベースを構築し、それをWeb公開する。さらに、データベースからとりたて詞が含まれるデータを分析し、とりたて詞の焦点範囲を体系化する。
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研究実績の概要 |
本研究は、自然談話のデータベースを構築し、現代日本語のとりたて詞が有する焦点機能の解明を目的とするものである。モ、サエといったとりたて詞が付加される語は文の中でとりたてられ、その語と同等の他の要素が想起されるが、自然談話ではそのとりたての範囲が語を越えて述語などに拡張することが多く、その仕組みは明らかになっていない。自然談話からどのような要素が焦点範囲に含まれるかを示すデータベースを構築すること、自然談話におけるとりたて詞の焦点範囲を体系化することを目指す。 従来の研究では、書き言葉、話し言葉などの文体や使用場面によるとりたて詞の用法の違いが明らかにされていなかった。そのため本年度は、①自然談話のデータベース化を進めると同時に、②特定の文体、使用場面で用いられるとりたて詞とその周辺要素がどのように特徴づけられるかを明らかにした。 ①については、日本語母語話者による自然談話の収集、およびフォローアップ・インタビューを行い、データの整備を行った。②については、1)かたい書き言葉に現れる「誰/何+デモ+ガ」を量的、質的に分析し、主題の属性を叙述する文タイプの中で生じる傾向があること、またそれがごく近年見られる傾向であることを明らかにした。さらに、2)とりたて詞の周辺要素である引用形式「って」と「と」を使用場面の観点から分析し、「と」の代わりにくだけた話し言葉で用いられる「って」について、話し言葉であっても物語の場面では使用されにくいことを明らかにした。 今後、自然談話の収集、フォローアップ・インタビューを進め、自然談話に現れるとりたて詞の特徴を明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、①自然談話におけるとりたて詞の使用をデータベース化すること、②とりたて詞が自然談話においてどのように用いられるかを明らかにすることである。 目的①については、おおむね研究計画に即して日本語母語話者による自然談話の収集、およびデータベース化を進めている。予定人数には達していないが、収集した自然談話に関しては既にフォローアップ・インタビューを終え、分析可能な形になっている。 目的②については、文体の観点からとりたて詞の分析を進めており、その成果を学会で発表することができている。未だ論文を発表していないが、今後公刊されるように執筆を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
目的①自然談話のデータベース化について、今後は引き続き研究協力者を募り、発話データの収集とフォローアップ・インタビューを進めていく。また、データベースの公開に向けて整備を進める予定である。 目的②とりたて詞の焦点の分析については、収集したデータを分析し、とりたて詞の用法と実際の発話の中でとりたてている要素との関係を明らかにしていく。得られた成果について、研究発表・論文発表を行う予定である。
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