研究課題/領域番号 |
23K12196
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02070:日本語学関連
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研究機関 | 奈良教育大学 |
研究代表者 |
山田 実樹 奈良教育大学, 国語教育講座, 講師 (00909038)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2027年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 赤い鳥 / 近代語 / コーパス / 語彙 / 語種 |
研究開始時の研究の概要 |
前年度までの研究課題における、『赤い鳥』第1-10巻までの鈴木三重吉童話作品を中心に行った語種調査では、先行研究が指摘する当時の使用実態と異なる『赤い鳥』独自の語彙使用がみられた。 本研究では、その成果をもとにさらに調査対象を拡大し、童話作品を対象とした電子化および語種調査から、『赤い鳥』の言語的特徴を実証的に明らかにし、他の近代語資料との対照から、当時の語彙変化が子ども向け文学作品にも反映されているのか、子ども向け文学作品独特の語彙使用があるかについて検討することで、『赤い鳥』がどのような近代語資料であるのかを考える。
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研究実績の概要 |
令和5年度は、以下の研究を実施した。
【童話作品の電子データ化】『赤い鳥』のコーパス構築に向け、昨年度に続き語種調査のための基礎データ作成に従事すると共に、誤データの修正や体裁を整える作業を行った。なるべく多くの作品を電子データ化することを目標に実施し、『赤い鳥』における鈴木三重吉以外の作家の童話56作品を電子データ化した。データ化し、校正済みの作品は、国立国語研究所によって公開されている形態素解析ツール「茶まめ」を使用して、順次形態素解析を行っており、解析結果に問題のある場合には、手作業で修正している。
【研究成果の発表】本年度はこれまでの調査を通して明らかになった『赤い鳥』の近代語資料としての価値について2023年度奈良教育大学国文学会で発表した。また、この内容を『奈良教育大学国文 : 研究と教育』に研究論文として発表した。具体的には、第三期以降の国定教科書と刊行期を同じくしていること、鈴木三重吉が「子供たちの手本」となるようにという創刊の理念に従って、言語選定意識を持って作品に手を入れていたと思われること、「子供のための芸術」を志向したことが大人たちに受け入れられ、教育現場を中心に子供たちの学習材として受容されたこと等から注目すべき近代語資料であり、紙面上において特徴的な表記がなされていたり、現代共通語とは異なるオノマトペが使用されていたりすることなどを挙げ、近代語研究においてどのように位置づけられるかについて述べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コーパスを構築するための電子データ化作業が予定より遅れている。理由として以下の2点が挙げられる。 1)本年度新しい環境で研究をスタートし、研究環境の整備が必要であったが、電子データ化作業を行う協力者の申請方法などが複雑で想定より時間がかかった。 2)新しい技術を取り入れ効率化に努めているが、『赤い鳥』の総ルビ、二段組などの紙面特性のためにOCRが上手く機能せず、手作業で行う部分が多いことが挙げられる。 それに伴い、コーパス化のためのデータ解析、研究成果の発表が少しずつ後ろ倒しになっているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は計画の2年目であることを鑑み、まずはコーパス構築に必要な童話作品の電子データ化に努める。電子データ化と同時にデータ解析を進め、形態素解析・タグ付けを行い、検索可能なデータを増やしていくことを目標とする。 次年度は新たな項目での調査を検討しており、成果発表につなげたい。
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