研究課題/領域番号 |
23K12198
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02070:日本語学関連
|
研究機関 | 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所 |
研究代表者 |
菊地 礼 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 研究系, プロジェクト非常勤研究員 (20963458)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2027年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | 比喩 / 言語資源 / 文法 / 日本語史 / コーパス / 直喩 / 中世語 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、中世期における日本語の比喩がどのような語彙と文法規則を用いて形成され、どのような目的で運用されていたかの解明を目的とする。そのために、「日本語歴史コーパス」(CHJ)を用いた実証的なアプローチを取る。対象とするテクストは、説話(『今昔物語集(本朝部)』『宇治拾遺物語』『十訓抄』)、随筆(『方丈記』『徒然草』)、劇(『虎明本狂言集』)とする。これらから比喩を抽出し、関連情報を付与し、比喩表現データベースを作成する。これに基づき、①比喩を形成する語彙・文法形式のリスト化、②比喩の形成に用いる意味的範疇や文法カテゴリーの記述、③比喩の機能である「具体化」の細分類から使用目的の記述を行う。
|
研究実績の概要 |
本研究は日本語の古典語、特に中世(鎌倉~室町期)のテクストを対象として比喩表現の基礎的な研究資源を構築している。また、構築した研究資源を用いて、古い時代の比喩がどのような意味・文法的な規則を用いて形成されているか、比喩がどのような意図・目的で運用されているかを調査・分析している。
日本語の比喩表現の歴史的研究はほとんど進展しておらず、どのような資料にどのような比喩が分布しているのか、比喩がどのように形成されているのか、比喩をどのような意図で用いているかが明らかになっていない。古語は内省が利かないため、実例ベースで進める必要があるが、そのための基礎的な言語資源が構築されていないことが大きな要因である。そこで言語資源構築として、『方丈記』と『虎明本狂言集』からの比喩の抽出が完了し、合わせて意味や文法的な情報も付与した。作業を行う中で、追加で付与すべき情報についても検討を行った。
『方丈記』では形態的な有標性を持たず、文脈の中で比喩かどうか理解される「文脈比喩」が多く用いられることが分かった。また、指標比喩(≒直喩)を構成する文法形式の種類が時代の下った『虎明本狂言集』よりも多いことが分かった。比喩を構成する文法形式の種類が時代・ジャンルなどによって異なることを明らかにした。以上の調査結果はEvidence based Linguistics 2023にてポスター発表を行い、優秀発表賞を受賞した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理由:『方丈記』『虎明本狂言集』からの比喩の抽出及び意味・文法情報の付与が完了した。また、『今昔物語集』『十訓抄』の比喩の抽出作業がほぼ完了した。
|
今後の研究の推進方策 |
1.データの構築 『今昔物語集』『十訓抄』からの比喩の抽出を速やかに行う。また、『徒然草』『宇治拾遺物語』からの比喩の抽出を行う。その後、抽出した比喩表現に対して意味・文法的な情報を付与する。
2.比喩の意味・文法的分析 1.により研究の基礎となるデータが揃う。その後、付与した情報を活用し、比喩がどのような意味分野の語を用いて形成されているか、どのような文法形式・構文により形成されているかという比喩の成立メカニズムを分析する。
|