研究課題/領域番号 |
23K12202
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02080:英語学関連
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研究機関 | 広島修道大学 |
研究代表者 |
石田 崇 広島修道大学, 人文学部, 准教授 (90907007)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 形容詞派生 / 補充形 / 関係形容詞 / 派生形態論 / 形と意味の対応付け / 補充法 / 派生と屈折 / 名詞修飾 / 語彙素 / レキシコン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、英語の形容詞派生に生じる補充形に注目し、その意味的特性と形態論上の位置づけを、他言語との比較・対照の観点から明らかにすることである。補充形は従来、屈折現象として見なされてきた(例:動詞goの過去形として現れるwentなど)。しかし本研究では、新たに、派生としての補充形(例:paternal (<father), canine (<dog), sylvan (<forest)など)に注目する。本研究は、補充形および補充法という形態操作の本質的性質の解明に迫ることで、英語の派生形容詞とそこに現れる補充形に対する理解を深めるものである。
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研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、英語の形容詞派生で生じる補充形に注目し、その意味的特性と形態論上の位置づけを、他言語との比較・対照の観点から明らかにすることである。
本年度は、まず、当初の研究計画通り、現代英語において、補充形の形容詞として認められるデータに関して、先行研究を含め、辞書やコーパスから収集・整理することに努めた。そこから明らかになってきたことは、補充形形容詞には、Koshiishi (2011)などの先行研究が指摘するラテン語由来のものだけではなく、実は、ゲルマン語由来の補充形も一定数存在するかもしれないという可能性である。このことは、屈折形態論におけるゲルマン語由来の補充形(例:動詞goの過去形として現れるwentなど)が存在する点を考慮することで得られた。また、現代英語において基体そのものの形式が認められない(例:*gastrointestine)にも関わらず、それを(想像上の)基体とした派生形容詞(関係形容詞)(例:gastrointestinal)が存在する事例の派生プロセスについて、International Symposium of Morphology 2023 (ISMo2023、於:ロレーヌ大学、フランス)で発表(納谷亮平氏 (筑波大学人文社会系助教) との共同)を行い、当該プロセスを考える上で、補充形の派生プロセスも併せて考えることが重要であるという点を指摘しながら論じた。
その他、研究活動の成果の一部は、論文や口頭発表などの形で公表されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は一定の成果を得ることができたため、順調に進展していると言える。特に、ゲルマン語由来の補充形形容詞の可能性については当初の計画では予測していなかった大きな発見である。当該事項については引き続き調査が必要ではあるが、信頼ある辞書等の記述を見ると、派生元である基体が不明あるいは特定できないという記述が多くあることから、英語の補充形体系を新たなデータとともに捉え直す可能性を浮上させた。したがって、記述研究と調査によって一定の成果が得られただけでなく、次年度以降への新たな課題も得られ、さらなる研究の展開・発展が見込まれる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き補充形のデータ収集・整理およびその記述を継続しながら、他言語との比較も含めて、古英語・中英語・近代英語期に至るまでの補充形の分布変遷についても調査を進めていく。
また、他の品詞(動詞や名詞など)における補充形を扱った文献調査も進めつつ、派生形態論における補充形一般に関する理論研究を進め、これまであまり研究されてこなかった領域の知見を蓄積し、それらを参考・整理しながら、研究成果として随時学会発表および論文執筆を進めていく。
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