研究課題/領域番号 |
23K12203
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02080:英語学関連
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研究機関 | 長崎純心大学 |
研究代表者 |
三野 貴志 長崎純心大学, 人文学部, 講師 (50910048)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | there構文 / 場所句倒置構文 / 認知言語学 / コーパス言語学 / 英語学 / 構文文法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、大規模コーパスからの用例に基づいた詳細な英語の語法研究を通して、従来の研究では気付かれてこなかった一般動詞を伴うthere構文と場所句倒置構文の特殊な用法の発掘・記述・一般化を行う。 特に、使用文脈と共起関係に注目し、特定の動詞・名詞を伴う表現の特性を分析し、周辺的な例がどう構文の機能を果たすのか、各種の特殊な用法がどう語用論的に動機付けられるか検討する。特に、固定化した表現の特殊な意味機能を突き止め、具体的なレベルの構文の存在を指摘する。また、there構文と場所句倒置構文の共通点・相違点を突き止めることを目指す。
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研究実績の概要 |
本年度は、以下2点の研究を中心に行なった。 第一の研究は、存在を表す一般動詞を伴うthere構文の量的研究である。be動詞を伴うthere構文において、be動詞と主語名詞が数の一致を起こさない用例は多く報告されているが、本研究では一般動詞を伴う用例において、どれくらいの割合で主語名詞と数の不一致 (In every person, there lives two possible selves.) が起こっているのかを大規模コーパスを利用して調査した。先行研究では、一般動詞を伴う用例では数の不一致の場合は非文法的であると判断されることが多いが、コーパス調査の結果、be動詞ほどではないが、1割程度の用例で数の不一致が起こっていることがわかった。 第二の研究は、知覚動詞を伴うthere構文の量的研究である。feel likeのような知覚表現においては、虚辞としてitが一般的に使用されるが (It feels like there's a lot of colours there.)、本研究においてitの代わりにthereが使用される用例 (Now there looks like there’s a lot of colours there.)の調査を行った。特に先行研究においては、虚辞にthereが使用された場合は、従属節の中においてthere構文以外が使用される割合を大規模コーパスを利用して調査を行った。先行研究においては、従属節の中でthere構文が使用されない用例 (There looks like it dries out a bit at least tonight. ) は非文法的であると判断されることが多いが、1割程度の用例でthere構文以外が従属節で用いられていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
場所句倒置構文に関する初期調査が遅れている。 BNCにおいては用例の収集が終了しているが、COCAの調査がまだ始まっておらず、場所句倒置構文に関する分析が、動詞run以外、まだ十分に行えていない。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、there構文に関しては、存在や出現の動詞を伴う用例の調査を行う。大規模コーパスの用例を精査する中で、調査すべき表現を特定し、質的・量的研究を行う。 場所句倒置構文に関しては、まずは動詞runを伴う表現の分析を行う。動詞runを伴う場所句倒置構文はrunが主観的な移動を表す用例が大部分であり、その振る舞いの理由を場所句倒置構文の語用論的機能から説明することを目指す。また、場所句倒置構文で使用されやすい前置詞の調査を行う予定である。現時点で、amongが多く用いられている理由を調査する予定である。
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