研究課題/領域番号 |
23K12216
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02090:日本語教育関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
奥川 育子 慶應義塾大学, 国際センター(三田), 特任講師 (90758707)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2027年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ナラティブ / 談話 / 視点 / 談話展開 / 日本語 / 文法 / 習得 / 日本語教育への応用 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、タイプの異なる2種類のナラティブ(物語談話と体験談)を比較分析し、①談話研究におけるナラティブの位置づけを行うこと、②日本語母語話者と学習者のナラティブを認知機能言語学の観点から分析することで、日本語らしいナラティブとはどのようなものか明らかにし、かつ③学習者の習得状況を明らかにすること、さらに、④分析結果に基づき、日本語教育への応用を考えることを目的とする。具体的には分析で得られた知見を基に、日本語ナラティブを促進する動画教材と談話タスクを作成し、授業での実践を試みる。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、(1)タイプの異なる2種類のナラティブ、アニメーションや四コマ漫画を語った談話(物語談話)と自然会話(体験談)を比較し、談話研究におけるナラティブの位置づけを行うことである。また、一文レベルを超えた談話レベルでの談話展開の様を認知機能言語学の観点から分析し、日本語らしいナラティブとは何かを浮き彫りにすること、かつ学習者の習得状況を明らかにすることである。(2)さらに、(1)で得られた知見を基に日本語ナラティブで使用される日本語らしい事態把握が用いられた動画教材と談話タスクを作成し、授業で実践することである。 初年度は、日本語母語話者と日本語学習者、日本語母語の児童(小学生)による物語談話の比較を行った。本研究では、日本語母語話者と学習者の物語談話のみならず、これまで調査されてこなかった児童の物語談話における視点と談話展開を考察し、日本語母語話者児童の視点表現の使用状況や談話展開技術を考察している点が画期的である。調査の結果、日本語母語話者は様々な視点表現を使用し、主人公の立場から物語を語る傾向にあるが、学習者は上級レベルであってもそのような語り方をしていないことが明らかになった。日本語母語話者の物語談話では視点の一貫性が見られるが、学習者の物語談話では様々な視点から物語が語られている。一方、児童の物語談話では小学校1年生においても母語話者に近い傾向が見られ、主人公の立場から物語を語ることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に予定していた(1)日本語の母語話者のナラティブ分析、(2)日本語学習者のナラティブ分析は順調に進んでいる。日本語の母語話者のナラティブ分析では、これまでの研究で行ってきた成人日本語母語話者のナラティブ分析のみならず、児童のナラティブ分析も開始している。 ただし、今年度中(3月)に発表予定だったアメリカでの学会が来年度に開催となったため、その分の費用を来年度にまわすことにした。この3月に予定されていたアメリカでの学会発表は来年度8月に行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、さらに日本語母語話者(成人、児童)のナラティブ分析と日本語学習者のナラティブ分析を進める。また、医学や心理学等、言語学以外の分野でのナラティブ研究についても考察を深め、ナラティブとは何かを体系的に理解していく。くわえて、英語のナラティブと日本語のナラティブの比較(日英対照研究)、物語談話と体験談の比較を行い、研究結果を基に学習者の日本語習得を促進する動画等の教材を開発する予定である。
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