研究課題/領域番号 |
23K12220
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02090:日本語教育関連
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
麻 子軒 関西大学, 国際教育センター, 留学生別科特任常勤講師 (30880249)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2026年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | テレビゲーム / コーパス / 日本語教育 / 語彙表 / 量的調査 / OCR / 語彙調査 / 付随的学習 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、テレビゲームが日本語学習者にとって重要な動機づけになってきているが、テレビゲームを日本語教育に活かす研究はほぼない。その一つの理由は、テレビゲームのテキスト情報を効率的に調査できるコーパスが構築されていないからと考えられる。本研究では、各ジャンルの代表的なゲームのコーパスを作成した上で、これらのゲーム内に出現した語彙・文法の量的構造を把握し、日本語教育での活用例を提案することを目的とする。これにより、どのタイプのゲームが学習者に最も効率的な学習効果を与えられるかが分かるだけでなく、漫画やアニメなど他のポップカルチャーと比較することで、ゲームの独自の活用例を見出すことも可能となる。
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研究実績の概要 |
本研究は、テレビゲームにおける語彙やその他の言語的単位に見られる構造や特性を明らかにし、その知見を日本語教育へ応用することを目指すものである。具体的には、①各ゲームジャンルから代表的なタイトルを選定し、ゲームコーパスを作成すること、②ゲーム内に出現した語彙・文法を旧日本語能力試験出題基準や分類語彙表と照合し、難易度や意味機能分類といった教育に関わる量的構造を把握すること、③他のポップカルチャーと比較しながら、テレビゲームの日本語教育での位置づけを明らかにすること、④教育現場での活用例を提案すること、以上の4点を目的とする。 令和5年度の計画は、①各ゲームジャンルから代表的なタイトルを選定し、ゲームコーパスを作成することである。この過程には、プレイ動画の収録、文字化、校正、コーパス化という4段階の作業が必要である。現在、各ジャンルから24タイトルを選定しており、その中の15タイトルのプレイ動画収録が完了している。文字化作業に関しては、当初は手作業での入力を予定していたが、新たに試行したOCR技術の活用に成功し、予定よりも効率的に文字化作業を行うことができ、すでに12タイトルの作業が完了している。校正及びコーパス化については、これから行う予定であるが、収録と文字化と比べて比較的単純な作業である。 ゲームコーパスの構築は、申請者以外に構築者がおらず、方法論もまだ確立されていない。初年度の試行錯誤を通じて、効率的な動画収録方法やOCRを利用した文字化方法を確立できたことは、言語資源構築において大きな意義を持つと思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①「各ゲームジャンルから代表的なタイトルを選定し、ゲームコーパスを作成する」という作業は当初、予定されていたゲームの数が24タイトルであり、それを2年間にわたって実施する計画であった。今年度はすでに15タイトルの収録を終え、文字化作業も12タイトル完了している。予期せぬ事態は特になく、むしろOCRという新たな手法の導入により、予定よりも若干進んでいる。 ただし、残るタイトルは新作ゲームであり、テキスト量が多いため所要時間が増加する可能性がある。校正作業とコーパスの整形作業も残されており、現状では、①の作業の約半分が終了していると見られる。これが当初の2年間の計画であるため、現在の1年目は折り返し地点にあり、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の次年度における主要な課題としては、方法論を洗練させることと、コーパスの整形作業に関するマニュアルを作成することが挙げられる。また、まだ手を付けていない新作ゲームにはテキスト量が多く、作業時間が長引く可能性がある。さらに、校正やコーパス整形の作業も残っており、これから取り組むゲームでは煩雑な単純作業が比較的多くなると見込まれる。 そのため、プレイ動画の収録をYouTubeで公開されている動画で代用することや、文字化作業をなるべく機械的なOCRで処理するなどの処置が必要であると思われる。そうすることにより、手作業が必要な校正作業に人手を集中させることができる。今後は、効率的な人員配置を考慮し、最大限の電子資源を作成できるような工夫が必要である。
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