研究課題/領域番号 |
23K12227
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02100:外国語教育関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
山本 大貴 信州大学, 学術研究院教育学系, 助教 (90880344)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 異文化理解教育 / 英語教員養成 / 異文化間教育 / 英語教育 / 教員養成 |
研究開始時の研究の概要 |
日本の英語教員養成課程では、「異文化理解」に関する科目の履修が必須となっている。しかし、その科目において、どのような実践を行うことが効果的であるのか検討した研究は少ない。そこで本研究は、英語教員志望者の「文化について英語で語る力」の向上に資する帯活動を開発し、英語教員養成課程の「異文化理解」の科目内で実践して、その効果を「英語力(特に話す力)」と「異文化間能力(特に文化相対主義の立場から価値観・習慣等を論じる力)」の2つの観点から検証することとした。これにより、英語教員養成に関わる大学教員等に有益な示唆を提供するとともに、英語教育や異文化間教育に関する新たな視座を得ることを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究の目標は、英語教員志望の大学生の「文化について英語で議論する力」の向上に資する活動(異文化理解ディスカッション)を開発することである。研究1年目の2023年度は、パイロットスタディとして大学の授業で実際に活動を繰り返し行い、アンケートにより参加者26名の感想を調査した。その結果、「異文化理解ディスカッションにより、文化相対主義の立場に立って異文化を解釈する力が向上した。」という項目の平均値が4.77、「異文化理解ディスカッションにより、英語を話したり書いたりする力が向上した。」という項目の平均値が4.19、「異文化理解ディスカッションは楽しかった。」という項目の平均値が4.65 (いずれも、5: そう思う、1: そう思わない の5件法)と非常に高くなった。自由記述式の質問でも、「テーマが私たちの日常生活に関するものであり、経験に基づいて考えることができて、自分の生活を改善していくようなテーマがとてもよかったと感じた。」「普段は持たない視点を異文化理解ディスカッションを通して持つことができた。また、それを英語で行うことで、将来海外に行ったときに日本について紹介するときや、海外から留学生が来たときなどの準備になった。」などの肯定的な感想が多くみられた。その一方で、改善点として「ライティングの修正がない。文法や語彙があっているかどうかわからない。」など、英語に関する指導をより充実させてほしいという要望もみられた。 また、異文化理解教育に精通している他大学の教員に授業を参観してもらい、活動に関する助言を得た。その結果、目標をより明確にし、その目標が達成できたか振り返る時間を設けることで、活動がさらに効果的なものになる可能性があることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目となる2023年度は、2024年度の本調査に向けて、異文化理解ディスカッションの内容を確定させることを目指した。アンケート調査や、他大学の教員からのフィードバックにより、本活動が効果的なものである可能性が高いことが示された。さらに、よりよい活動に改善するための示唆も得られた。その結果、予定通り2024年度に本調査を実施することが可能となった。効果測定方法に関する文献調査については当初予定していたほど時間を費やすことができなかったのは反省点であるが、それに関しては2024年度も継続して取り組み、2025年度以降のより精緻な効果検証につなげていきたい。以上の理由から、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2年目となる2024年度は、2023年度の成果を基に改善した活動を大学の授業で実施し、効果検証する。まず、参加者の「文化について英語で議論する力」の伸びを確認するために、活動実施前と実施後にパフォーマンステストを行う。活動前後のパフォーマンスを、異文化理解(ある文化に対する過度な一般化を避けているか、ある文化について様々な視点から考察できているか、など)と英語の観点から評価し、統計的に比較する。くわえて、活動実施後にアンケート調査を行い、参加者が活動についてどのような感想を持ったかや、成長を実感できたか等について検証する。これらの研究成果を学会で口頭発表するとともに、論文にまとめて学会誌に投稿する。 さらに、2024年度の結果を踏まえて2025年度以降の研究計画を策定する。大学生を対象とした研究の成果を応用し、高等学校の英語の授業などでも異文化理解力を高める言語活動が行えないか検討する予定である。
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