本研究は、近世大名居城の空間分離構造の中でも、大名とその側妾・庶出子の生活空間であった奥向に注目し、その構造や構成員に関する一次史料の調査・収集を行い、基礎的分析を行うものである。 本研究では、大名居城奥向の構造および構成員、すなわち大名の側妾・側室、庶出子、奥女中、広敷向男性役人の処遇・役割の基礎的分析を通して、その制度および機能について近世前期から後期に至るまで、長いスパンの中で捉えることを目的とする。それにより江戸屋敷のみならず居城を含めた武家の奥向や妻妾制の展開を総体的に把握し、近世武家政治の構造について、女性の政治的役割を含めて新たな論点を提起する。
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