研究課題/領域番号 |
23K12272
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
佐藤 真海 山形大学, 人文社会科学部, 講師 (20951007)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 東寺 / 僧侶集団 / 東寺定額僧 / 日本古代史 / 古代寺院 / 法会 |
研究開始時の研究の概要 |
東寺は平安京遷都に伴って創建された国家的な大寺にして、真言密教の中枢を為す寺院である。本研究は、日本古代における東寺の僧侶集団および法会に関する通時的かつ能うかぎりの網羅的検討を実践することを通じて、古代東寺の存在形態を総合的に把握し、その歴史的特質を論究する。それにより、かねて専論が十分ではなかった古代東寺史研究において、あらたな基礎的研究を提出することを試みる。
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研究実績の概要 |
本年度においては、古代東寺の僧侶集団がいかなる宗教的・世俗的背景を有する僧侶によって編成されていたか、また、それがいかなる変質の過程をたどったかを明らかにすることを目的として、検討を進めた。 そこでは、平安初期に東寺に公的に配置され、その法会の担い手となった東寺定額僧に焦点を当て、およそ平安後期までを対象として、その補任情報を精査するとともに、当初の研究計画に追加する形で、その創設にまつわる基本史料の再検討を試みた。その成果の一部として、「古代東寺定額僧小考」(『山形大学歴史・地理・人類学論集』第25号、2024年)を公表することができた。本稿においては、先行研究の成果に学びつつ、東寺定額僧の創始に関する三つの史料(『東宝記』・『類聚三代格』所収)をとりあげ、その問題点や取り扱い方を再検討した。そのうえで、東寺定額僧の人的規模の変遷を制度・実態の両面から跡づけ、当該事象をめぐる新たな解釈を提起した。また、東寺定額僧の本寺(=所属寺院)について、基礎的なデータをとりまとめ提示している。これらの作業により、古代東寺の僧侶集団を考えるうえで基本的な論点について、多少なりとも検討を進めることができたのではないかと思われる。なお、本稿は、およそ9・10世紀の東寺定額僧を検討対象としたものであり、上述の本年度の研究目的に照らして、論じ残すこととなった内容も少なくない。それらについては、早期の発表をめざして、論証の精度の向上や議論の体系化を試みている。 また、本年度にあっては、古代東寺関係史料のなかには、目下通行する刊本に安住すべきではないものが含まれていることも再確認できた。史料学的研究に対する適切な目配りは、本研究を推進するにあたり、不可欠のものとして保持することとしたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初より計画していた古代東寺の僧侶集団に関する検討に取り組み、その成果の一部を論文として公表できた。よって、本研究はおおむね順調に進展していると判断してよいと思われる。但し、上述のように当該論文では論じ残した内容があるほか、計画していた学会発表を行いえなかったことなど、いくつかの面で課題はある。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に実施した古代東寺の僧侶集団に関する史料収集や分析のうち、いまだ学術誌に公表しえていない内容の論文化につとめる。また、当初の研究計画にもとづき、古代東寺の法会の開催様態の通時的分析を進める。それにより、僧侶集団と法会という観点から、古代東寺の存在形態とその歴史的特質を考察する。なお、これらの途次にあっては、適宜史料調査を実施するほか、史料の影印や複写物の入手につとめることによって、典拠史料の確度に留意しつつ研究を進めることとしたい。
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