研究課題
若手研究
今川了俊(1326~1420頃)は南北朝・室町初期の武将・歌人で,1370年に九州探題に任じられ,1395年まで九州の平定に従事した人物である。探題在任期間中に豊富な史料を残しており,その数は彼自身の発給文書だけでも500点以上にのぼる。特に今川了俊関係の書状(手紙)は,定型的な上位下達文書とは異なり,長文かつ具体的な記述に富んでおり,質・量ともに南北朝内乱の様相を伝える第一級の史料といえるが,多くは年未詳史料であり,その活用は不十分な状況にある。本研究課題では今川了俊関係史料の基礎的分析を行うとともに,室町幕府体制下における地方支配の実態と,地方の側が秩序形成において果たした役割について検討する。