研究課題/領域番号 |
23K12277
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
東野 将伸 岡山大学, 社会文化科学学域, 准教授 (10812349)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 日本近世・近代 / 瀬戸内地域 / 情報 / 思想 / 書状 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、幕末~明治期における地方文書の分析により、地域社会と人々の変化の過程、地域の政治・行政や経済活動の背景にあった事象を主に情報と思想の側面から明らかにする。その際、山陽道と瀬戸内海により、人・モノ・情報の往来が全国的にみても盛んであったとみられる瀬戸内地域を主な対象とし、諸事象の内実や当事者の認識が記される場合の多い「書状」を主な分析対象史料とする。なお、研究にあたっては、未整理古文書の整理と活用・研究利用も積極的に行っていく。
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研究実績の概要 |
本研究は、幕末~明治期における地方文書の分析により、地域社会と人々の変化の過程、地域の政治・行政や経済活動の背景にあった事象を主に情報・思想やネットワークの観点から明らかにすることを目的としており、その際に諸事象の内実や当事者の認識が記される場合の多い「書状」を主な分析対象史料とするものである。 本研究の1年目(2023年度〈令和5年度〉)の課題は、①岡山大学附属図書館にて好本家文書(5411番(9704通〈188括〉等)の概要把握と調査・撮影を行い、以降の整理方針を決定すること、②岡山県立記録資料館において、同館所蔵分の好本家文書の調査・撮影を進めること、③浅野家文書(岡山大学文学部日本史研究室(日本史学領域)所蔵)の書状の分析を進め、遠隔地との情報のやりとりやキリスト教との関わりを解明すること、④同家と関係があった商人等やその文書の調査のため、2023~2024年度を中心に九州・近畿等での史料調査を行うことの4点であった。 このうち①については調査・撮影に着手し、②については全ての文書の調査・目録取りと必要史料の撮影を概ね終えた。③については分析が大きく進展した(分析結果を2024年4月に実施した岡山地方史研究会4月例会にて報告)。③の作業を進める中で、まずは浅野家文書自体の分析を深める必要性を感じたため、④2023年度は九州・近畿等各地の史料データや所蔵施設情報を調べることに努め、2024年度以降に同調査を実施することとし、その準備を進めた。また、本研究に関係する地域や家の古文書の情報収集と分析を適宜進めた。 上記のような研究の結果、2023年度には『岡山大学大学院社会文化科学研究科紀要』57号に備中国の有力者の経営とネットワークについての論文を公表した。また、明治維新史学会11月例会にて、畿内・近国地域における地域有力者についての研究報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の1年目の課題のうち、①岡山大学附属図書館での好本家文書の概要把握と調査・撮影には予定通り着手し、以降の整理方針や計画をおおよそ定めた。②岡山県立記録資料館所蔵分の好本家文書の調査・撮影については全て調査を完了し、同文書についての論文の執筆を進めている。なお、調査によって作成した同文書全点の目録データについては、同館に全て渡すことができ、今後同館側での作業が終わり次第、一般公開されるものとみられる。③浅野家文書(岡山大学文学部日本史研究室(日本史学領域)所蔵)の書状の分析は当初の予定以上の進展があったが、その反面として④については調査の実施ではなく次年度以降の調査準備を進めることとなった。 以上の状況から、③④については当初の予定とやや異なる実施状況(③の大きな進捗と④の準備)となったが、全体としては概ね順調に研究が進展していると考える。 2年目には、1年目の成果をふまえつつ、①の作業の進展、②③の成果発表(論文公表)の準備と執筆、④の調査を実施することを予定している。そして、調査予定であった高木家文書(岡山県立記録資料館)の調査・分析にも取り組み、①についての数量データの整理・分析をさらに進めることを予定している。また、1年目の史料調査や史料情報の収集を通じて、2年目以降に分析に着手すべき史料の情報も一定程度入手でき、2年目以降の研究の準備も一定程度行うことができたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
1年目の研究内容から引き続き、瀬戸内地域や畿内・近国地域を対象として、地域の有力者家における書状類の収集・分析を進めていき、学会報告や学術論文というかたちでの成果の公表を目指す(特に浅野家文書)。 また、岡山大学附属図書館所蔵好本家文書などの未整理文書については、目録データの作成や、同データを適宜同館へ引き渡すこと、史料内容の紹介などを模索する中で、学術論文としての成果の公表に加えて今後の史料利用を促進するための施策についても適宜検討・実施していく。 これらの研究や史料整理作業をもとに、幕末期から明治期における地域社会と人々の変化の過程、地域の政治・行政や経済活動の背景にあった事象を主に情報・思想やネットワークの観点から明らかにする作業に継続して取り組んでいく。
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