1900~1910年代、日本の官民造船所は国内の軍需・民需市場のみならず、国際市場においても合計37隻の艦船を輸出することに成功していた。該当時期、外交機関及び海軍の積極的なバックアップの下で行われた艦船輸出は①商取引、②海外利権の獲得手段、③軍の武器移転という三重の性格を持っていた。輸出先に対する日本の政治的影響力の強弱、輸出先の内外情勢、及び企業の経営策によって輸出の三重性格の構造は複雑な様相を呈していた。本研究は、多言語資料を利用して艦船輸出の交渉過程を明らかにし、その上、日本と輸出先の諸国双方の視点から、1900~1910年代の艦船輸出の三重性格の構造を解明したい。
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