研究課題/領域番号 |
23K12293
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03030:アジア史およびアフリカ史関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
小澤 一郎 立命館大学, 文学部, 准教授 (50817210)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2027年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | マクラーン / バルーチ人 / インド洋 / マスカト / イラン / アフガン人 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、19世紀から20世紀前半にかけてのマクラーン(現在のパキスタン・イランの国境地帯沿岸部)における交易・交流の実態と、近代の到来がもたらした変化を解明する。具体的には、マクラーンの交流・交易とこの地域の生態環境や社会経済的状況との関係の検討と、マクラーンの海洋民・海港やアフガン人の活動の事例研究を通した、マクラーンにおけるインド洋海上交易とユーラシア大陸陸上交易の接合および様々な集団のネットワークの相互接続の実態解明を行う。そして、周辺国家の支配強化によるこの地域の周縁化や人間の移動の統制、電信や汽船などのインフラに代表される近代の到来がこの地域の交易・交流に与えた影響を検証する。
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研究実績の概要 |
2023年度は、現在のイランとパキスタンの国境地帯であるマクラーンを根拠地とするバルーチ人のオマーン湾沿岸地域における交易活動を、19世紀末から20世紀前半まで時代的範囲を広めて検討を進めた。また、本研究テーマに関係する史資料の収集のため、2023年9月にはイギリス・ロンドンにおいて約2週間の調査を行った。その結果、バルーチ人有力者の一部がアラビア半島北岸で1940年代まで活動していたことが確認され、バルーチ人の海を越えた活動が少なくともこの時期まで継続していたことが判明した。このような活動の実態はこれまでの歴史研究では全く扱われてこなかったもので、この検討を通じて近現代のユーラシア大陸とインド洋の海陸をわたる人々の活動の一端を明らかにすることができた。この成果については、2024年8月に韓国で開催予定の国際海洋史学会で報告予定である。 また、関連するテーマとして、バルーチ人を含む多様な集団によって交易活動が展開された20世紀初めのオマーン・マスカトを多様な集団のネットワークの交錯する場として捉え、研究を行った。その成果は、2023年11月に韓国ソウルで開催された国立アジア文化殿堂(Asia Culture Center; ACC)主催の国際学術シンポジウム「西・南アジアの再発見:都市文化と生活様式」において、"Mercantile Communities and Commercial Practices in Muscat at the Turn of the 19th and 20th Centuries"のタイトルで報告を行い、公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は研究計画の初年度に当たり、基礎的な調査検討が主となった。また、日本中東学会の事務局を2023年度から2年間の予定で担当しているため、そちらに時間と労力の相当部分を割く必要もあった。このため、研究成果の公開の数は少なくなった。ただ、史料の検討を通じ、問題の全体像の把握は完了したと思われる。次年度以降にさらなる検討を進めるとともに、研究報告や論文などの形でその成果を公表できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度以降は、これまでに収集した史料の分析と検討を進める。具体的には、マクラーンの現地情勢と交易、主に奴隷交易とのかかわり、マクラーンの海洋民の活動などについて検討を行う。調査については、現地であるマクラーンでの調査は治安の問題から難しいと考えられるが、バルーチ人の活躍した主要な舞台の一つであるオマーン・マスカトなど、ペルシア湾南岸地域での現地調査を行うことを検討している。
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