研究課題/領域番号 |
23K12297
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
村田 光司 筑波大学, 図書館情報メディア系, 助教 (20793558)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ビザンツ帝国 / アーカイブズ / 古文書学 / 記憶 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ビザンツ帝国中後期(おおよそ10-15世紀)に形作られた正教会の修道院アーカイブズ(文書群・文書庫)が、いかなる仕方で管理され利用されたのかを、アーカイブズ学の手法を援用しつつ近現代までを視野に入れて明らかにすることを目的とする。 現存する文書を個別分析だけでなく、アーカイブごとに群として捉え、その伝来過程を通時的・共時的に分析することで、ビザンツにおける文書管理の実態に迫る。また帝国滅亡後から近現代に到るまでの文書管理・利用をも含めて考察することで、過去の文書がそれを利用する近現代の人々にとって有した意義の解明にも繋げる。これによって広くアーカイブズ史一般への貢献も期待される。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、ビザンツ帝国中後期に始まり現代にまで残る修道院のうち、多数のビザンツ期文書を抱えるギリシャのアトス山修道院群とパトモス島修道院のアーカイブズを対象に、それらが帝国支配下でどのように構築・管理され利用されたのか、個別文書の歴史学的分析のみならず、アーカイブズ学の手法を援用し由来を同じくする文書群の構成に注目して、帝国期のみならず近現代までを視野に入れて明らかにすることである。 研究初年度にあたる2023年度は、法典や個別勅令に代表される規範史料中に現れる、具体的な文書管理の作法の事例を収集・分析した。具体的には、archeion/aのような文書(庫)を指し示すと思しき用語の網羅的分析を、ギリシア語史料コーパス(TLG)を用いて行い、語義の変化をまとめる作業を行っている。一方で、大部のビザンツ期文書群を有するパトモス島の聖ヨアンネス・テオロゴス修道院およびアトス山のヒランダル修道院の文書管理・利用について、ビザンツ期におけるそのあり様の分析を改めて行った。後者については、英文の論文としてまとめ上げ、次年度の前半に投稿する予定である。 また、アーカイブズの歴史一般への成果還元を狙って、既存のアーカイブズ史の文脈でビザンツ帝国の文書管理がどのように扱われているのかを、いくつかの代表的な教科書的記述を比較・分析している。当初の予想通り、ビザンツ時代の史料証言は孫引きの部分的引用が大半であり、本研究による知見のアップデートが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で開始した研究内容については、当初の予定通り基盤的な史料証言の収集、および個別論文の執筆がおおよそ順調に進んだため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、特定の修道院文書庫を対象とした個別研究の投稿および掲載を目標とする。またそこで得られた知見を、規範史料における証言の分析と突き合わせ、規範と実態の距離をはかりつつビザンツ期における修道院アーカイブズの文書管理・機能の解明を目指す。 またビザンツ帝国滅亡後の修道院アーカイブズへと調査対象を広げるため、基礎的な史料の収集および歴史的背景の勉学に務める。
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