研究課題/領域番号 |
23K12301
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
能勢 和宏 帝京大学, 文学部, 講師 (10757058)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 欧州統合 / 欧州統合史 / 文化外交史 / EU / 文化外交 |
研究開始時の研究の概要 |
1970年代、欧州共同体ECは新規加盟国を迎えるとともに、通貨統合・政治協力に着手しはじめただけでなく、ヨーロッパ・アイデンティティ宣言や、ヨーロッパ市民権の確立を訴えるティンデマンス報告を発表し、ヨーロッパ統合は市民社会とも深い関わりを持つようになった。本研究はこうしたヨーロッパ統合の質的な変化を、ECが行う文化活動の変化という観点から考察するものである。その際、それまでヨーロッパを中心に文化活動を行ってきたECが1974年に駐日EC代表部を設置し、日本での文化活動に乗り出したという点を手がかりとし、ECが行う文化活動の重点の変化を解き明かす。
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研究実績の概要 |
本研究は、1970年代の欧州共同体(European Community, EC)が行った文化活動の内容ならびにその役割を、とくに駐日EC代表部の活動に着目して検討しようとするものである。 2023年度は1970年代のECの文化活動の全体像を把握することを試みた。ECの文化活動については、1960年代までの最初期の活動に着目した研究、1980年代以降「文化政策」が名実ともにはじまったことに着目した研究は存在するものの、1970年代については研究がほとんど行われていない状況がある。そのため本研究では、まず当該時期のECの文化活動の全体像を把握する必要があった。そこで欧州委員会歴史文書館のHP上で公開されている資料を把握し、なにがオンライン上で閲覧でき、なにが閲覧できないのかを判別したうえで、2023年8月にパリ(フランス外務省史料館など)およびブリュッセル(欧州委員会歴史文書館など)での資料調査を行い、ECの文化活動ならびに日EC関係に関する資料の収集を行った。このオンライン上および現地での資料調査によって、70年代のEC文化活動はこれまでほとんど注目されてこなかったが、様々な試みが検討されていたことを発見した。また日EC関係に関する資料を網羅的に収集したことで、貿易関係を中心としながらも、様々なレベルで日EC関係の発展が議論されていたことも見えてきた。これらの資料を分析した成果は、2024年度にECの沖縄国際海洋博覧会(1975)への参加などを取り上げた論稿として発表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、EC・EUの文化活動にかかわる二次文献の収集と、パリ・ブリュッセルにおける一次史料の収集を実施することで、基礎的な資料の収集を行うことができた。ただし、本来年2回予定していたヨーロッパでの資料調査については、おもに航空券代の高騰の影響を受けて、年1回しか行うことができなかった。それでも、1970年代のECの文化活動のひとつである国際博覧会への参加について分析を進め、2024年度に研究成果を発表できる段階にまで進むことはできた。したがって、現在のところ「(2)おおむね順調に進展している。」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は駐日EC代表部が行った活動により焦点を当てていく予定である。とくに駐日EC代表部が発行する定期刊行物である『ECニュース』などの出版物を収集・分析する。また、1970年代のECの文化活動にかかわる史料を収集するため、ヨーロッパでの資料調査も予定している。
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